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 本例は、形態学的にはAML-M5bを疑ったもので、染色体、遺伝子検査でinv(16)(p13.1q22)とCBFβ-MYHY11を認めたためinv(16)を伴うAML-M5bと診断された。

■症例詳細データ
性別
年齢 60-64
取得年代 2010-2014
主訴 発熱、咽頭痛
既往歴 特になし
現病歴 5年前より糖尿病にて食事療法を行っていた。咽頭痛にて近医を受診するも改善せず、全身倦怠感、食欲不振がみられ当院当科を受診された。血液検査で芽球を認めたため入院となった。発熱(37.2℃)があり両側扁桃Ⅱ度の腫大を認める。頚部・鼠蹊部リンパ節腫脹を認めない。肝臓:1横指、脾腫は認めない。
検査所見 WBC8,100/μl(Blast7.0, St0.5, Seg4.5, Eo 0.5,Ly32.5, Mo55.0%)、RBC362万/μl、Hb12.2g/dl、Ht35.4%、MCV97.8fl、MCH33.8pg、MCHC34.5%、PLT12.1万/μl 、NCC13.4万/μl、TP7.2g/dl、BUN19mg/dl、T-bil 0.7 mg/dl、UA4.9mg/dl、AST23IU/l、ALT12U/l、LDH378IU/、Glu 115mg/dl、HbA1c 6.9%、PT58sec、PT-INR1.32、APTT39.5sec、Fbg598mg/dl、FDP5μg/ml、D-dimer1.6μg/ml
末梢血所見 白血球正常(8,100/μl)にて芽球が7%みられ、他に単球が増加 (4,455/μl)していた。単球には成熟傾向がみられた。白血病を疑い骨髄検査待ちとなった。
骨髄所見 骨髄は正形成(13.4万/μl)で単球系がANC中の89%みられた。単球系が優位のなか、単芽球は30.0%、前単球は33.5%、単球は27.5%であった。周囲には幼若好酸球に赤紫色の粗大顆粒を有する大型な好酸球が6%みられた。
細胞化学所見 単球系はPO染色に陰性~弱陽性で、EST染色に陽性でありそれはNaFに阻害された。
形態診断 骨髄にて単球系細胞が80%以上を占め、なかでも単芽球が80%以下(実際は30%)で、EST染色に陽性でNaFに阻害されたことよりAML-M5bを疑った。しかし、背景に散見される大型で赤紫色の粗大顆粒が気になった。
免疫学的所見 CD4,CD11b,CD11c,CD33,CD64,HLA-DR (+)
分子生物学的所見 46,XY,inv(16)(p13.1q22) [20]
CBFβ-MYHY11 (+)
リンパ節所見 N.D
臨床診断 形態学的にはAML-M5bが疑い、染色体、遺伝子検査でinv(16)(p13.1q22)とCBFβ-MYHY11を認めたためinv(16)を伴うAML-M5bと診断された。