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 本例は、骨髄に増加する芽球はほぼ90%認め、なかに核内がえぐられたカップ様の形態を示すものがみられた。芽球はPO染色に陰性であったが、細胞マーカーで顆粒球系抗原が陽性であったことよりAML-M0を考えた。カ...
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 本例は、骨髄に増加する芽球はほぼ90%認め、なかに核内がえぐられたカップ様の形態を示すものがみられた。芽球はPO染色に陰性であったが、細胞マーカーで顆粒球系抗原が陽性であったことよりAML-M0を考えた。カップ様の芽球についてはFLT3/ITD遺伝子が陽性であったことより、FLT3/ITD遺伝子異常を伴うAML-M0と診断された。急性白血病の芽球にみられるカップ様(cup like)を有する芽球は予後不良とされることが多いことよりこの形態像は重要なポイントになる。
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■症例詳細データ
性別
年齢 80-84
取得年代 2010-2014
症例の種類 非典型例
主訴 全身倦怠感、労作時の息切れ
既往歴 胃癌(78歳):幽門側胃切除術
現病歴 1ヶ月前より労作時の息切れを自覚するようになり近医を受診した。血液検査にて白血球増加を指摘され、貧血、血小板減少もみられたため当科を紹介受診した。
体温36.4℃、意識清明。眼瞼結膜軽度貧血あり、眼球結膜黄疸なく、表在リンパ節を触知なし。肝脾腫を認めない。
検査所見 WBC141,500/μl
(Blast72,Promy1,Met1,St2,Seg16,Ly2,Mo1%)、
RBC274万/μl、Hb8.5g/dl、Ht26.1%、MCV95.2fl、MCH31.0pg、MCHC32.5%、PLT8.2万/μl 、TP6.8g/dl、AST29IU/l、ALT18IU/l、LDH640IU/、BUN35.2mg/dl、
Cre0.8mg/dl、UA6.4mg/dl、CRP0.3mg/dl、Ca9.3mg/dl、IgG1,521mg/dl、IgA510mg/dl、IgM187mg/dl
末梢血所見 白血球著増(141,500/μl)にて芽球が72%と増加していた。それらは大型でN/Cは高く核形不整が顕著であった。芽球のなかには核内がえぐられたものもみられた。それらの形態はカップ様を思わせるものであった。
骨髄所見 骨髄は低形成ながらも芽球は90%と増加していた。芽球にはアズール顆粒やアウエル小体は認めなかった。芽球のなかには末梢血と同様にカップ様(cup like)の芽球もみられた。
細胞化学所見 増加する芽球はPO染色に陰性で、EST染色、PAS染色も陰性であった。
形態診断 末梢血、骨髄に増加する芽球はPO染色に陰性よりALLを疑うが、形態学的所見からAMLも考慮し細胞マーカーなどの所見を参考にすることとした。
免疫学的所見 CD13,CD33,CCD34,D117,HLA-DR(+)
分子生物学的所見 FLT3/ITD遺伝子(+)
リンパ節所見 N.D
臨床診断 骨髄に増加する芽球はほぼ90%認め、なかに核内がえぐられたカップ様の形態を示すものがみられた。芽球はPO染色に陰性であったが、細胞マーカーで顆粒球系抗原が陽性であったことよりAML-M0を考えた。カップ様の芽球についてはFLT3/ITD遺伝子が陽性であったことより、FLT3/ITD遺伝子異常を伴うAML-M0と診断された。