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AML-M2で8;21転座の核形異常を伴う病型は、腫瘤形成などを併発し、再発を最小限に留めれば予後は良好とされる。形態診断が診断を裏付けるとが多いため形態異常をしっかり捉えることが重要である。
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AML-M2で8;21転座の核形異常を伴う病型は、腫瘤形成などを併発し、再発を最小限に留めれば予後は良好とされる。形態診断が診断を裏付けるとが多いため形態異常をしっかり捉えることが重要である。
本例は骨髄の芽球は80.6%で、大小不同性で核形不整や様々なアウエル小体を認め、PO染色の陽性態度が強度よりAML-M2を考えた。周囲には低顆粒の好中球などの形態異常を認めた。分化傾向に乏しかったが、後報告にて(8;21)ならびにAML1/ETO遺伝子が証明され、8;21転座型AML(M2)と診断された。診断後AML99プロトコール(VP16,CA,Mit,mTX,HDC)にて治療がなされた。その後入院36日目にて、芽球4.6%(芽球の形態異常とAML1-MTG8キメラmRNA定量5.8×10<sup>2</sup>copy/μgRNA)にて強化療法第1コースがなされた。入院105日にて芽球0.4%、(AML1-MTG8キメラmRNA定1.0×10<sup>2</sup>copy/μgRNA)にて強化療法第2コースがなされた。
骨髄の回復を待って強化療法第3コースがなされる予定である。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性骨髄性白血病 (AML)
> 成熟を伴うAML (M2)
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性別 |
女
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年齢 |
05-09
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
発熱、鼻出血。
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既往歴 |
3歳頃から感冒時に喘鳴あり。
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現病歴 |
6ヶ月前、発熱を認め1日で解熱するも倦怠感が持続していた。1週間後、咳嗽、鼻汁を認め近医を受診し感冒薬を処方された。3日後鼻出血を認め2時間ほど止血がみられず他医を受診した。血液検査で白血球増加、貧血、血小板減少がみられたため前医へ紹介となった。末梢血に芽球を認め当科へ紹介入院となった。頚部リンパ節腫脹(+)、肝脾腫(-)。
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検査所見 |
WBC 44,070/μl (芽球89.0, St-Seg3.0, Mo1.0, Ly7%)
RBC 266万/μl、Hb 8.5g/dl、Ht 24.1%、
MCV 90.6fl、MCH 31.9pg、MCHC 35.2%、
PLT 8.7万/μl、NCC 26.5万/μl、Mgk 31.25/μl (芽球80.6.0%)、LD 1604IU/l、TP 7.7g/dl、CRP 0.17mg/dl、BUN 11.8mg/dl、UA 3.6mg/dl、AST 27IU/l、ALT 15IU/L、PT 69%、APTT 31.4sec、Fbg 520mg/dl、FDP 5.85ng/ml、D-ダイマー 2.58ng/ml
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末梢血所見 |
白血球増加(44,070/μl)にて芽球は89%、核形不整が顕著でアウエル小体を認めたことで顆粒球系を疑った。
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骨髄所見 |
正形成像にて芽球は80.6%、大小不同、核形不整が顕著で、アウエル小体は豊富であった。アウエル小体には長いものや短いもの、松葉状など多様性であった。比較的に分化傾向が乏しく、好中球には低顆粒というよりも脱顆粒に近いものがみられた。
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細胞化学所見 |
芽球はPO染色に粗大顆粒状の陽性態度であった。
一部には固まり状を呈し珍しい染色態度であった。
ブチレートEST染色は単球系に陰性で、クロロアセテート染色は顆粒球系や幼若好酸球に陽性であった。
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形態診断 |
末梢血、骨髄の芽球は核形不整や様々なアウエル小体が豊富で、PO染色に陽性よりAML-M2を考えた。
分化傾向が低いため芽球の形態像が診断に有効で8;21転座AMLも考慮すべきと思われた。
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免疫学的所見 |
CD19・CD13・CD33・CD34・HLA-DR(+)
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分子生物学的所見 |
46,XX,t(8;21)(q22;q22)[19]
AML1/ETO gene(+)
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
光顕的にはAML-M2が考えられ、後報告にてt(8;21)ならびにAML1/ETO遺伝子が証明され、8;21転座型M2と診断された。
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