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8;21転座のAMLはt(8;21)(q22;q22)の核型異常とAML1/ETO遺伝子が証明される。AML全体の5~12%、AMLではM2に多く30~40%にみられる。
表現型ではCD13、CD33、CD34、MPOが陽性でCD19(リンパ系)の発現もある。... (続きを読む)
8;21転座のAMLはt(8;21)(q22;q22)の核型異常とAML1/ETO遺伝子が証明される。AML全体の5~12%、AMLではM2に多く30~40%にみられる。
表現型ではCD13、CD33、CD34、MPOが陽性でCD19(リンパ系)の発現もある。遺伝子異常ではt(8;21)(q22;q22)によって転写因子core-binding factor(CBF)のヘテロ二量体を構成するサブユニットの1つであるCBFαをコードするAML1遺伝子とETO遺伝子の間に再構成が生じる。
本例は、芽球は骨髄で20%以上(実際は48.4%)でPO染色に陽性よりAML-M2を考えた。芽球は核形不整が強く、アウエル小体を有し、幼若顆粒球の細胞質に好塩基性の縁取りなどがみられたことより8;21転座AMLも考慮すべきと思われた。後報告にて染色体の核型異常では8;21転座、AML1/ETO遺伝子が証明されAML-t(8;21)を支持するものとなった。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性骨髄性白血病 (AML)
> 成熟を伴うAML (M2)
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性別 |
男
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年齢 |
15-19
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取得年代 |
1995-1999
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主訴 |
発熱、倦怠感。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
発熱、副鼻腔炎、貧血。
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検査所見 |
WBC 6,760/μl(芽球46, My7, Met9, St-Seg18, Mo2,
Ly18%)、RBC 251万/μl、Hb 8.2g/dl、Ht 24.2%、
MCV 96.4fl、MCH 32.6pg、MCHC 33.8%、PLT 2.6万/μl、NCC 8.7万/μl、Mgk 6.25/μl(芽球48.4%)、LD 3,370IU/l、CRP 3.35mg/dl、UA 7.8mg/dl、Ca 8.3mg/dl、AST 39IU/l、ALT 23IU/L、Fbg 497mg/dl
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末梢血所見 |
白血球正常の血液像にて芽球が46%みられ、アウエル小体を認めたため骨髄系を考えた。
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骨髄所見 |
低形成像にて芽球は48.4%で分化傾向がみられるが、好中球までの分化は乏しいようであった。
芽球は大小不同性で核形不整や核小体を有しアウエル小体(長いもの、短いもの)を認めた。分化傾向の幼若型に細胞質に好塩基性の縁取りがみられた。
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細胞化学所見 |
芽球はPO染色に陽性で、PAS染色に陰性、ブチレートEST染色も陰性であった。
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形態診断 |
芽球は骨髄で20%以上(実際は48.4%)みられ、それらはPO染色に陽性よりAML-M2を示唆するものであった。
芽球は核形不整が強く、アウエル小体を有し、幼若顆粒球の細胞質に好塩基性の縁取りなどがみられたことより8;21転座AMLも考慮すべきと思われた。
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免疫学的所見 |
CD19(19.2%)、CD13(47.1%)、CD33(52.1%)、CD34(66.1%)、HLA-DR(95.9%)
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分子生物学的所見 |
46,XY,t(8;21)(q22;q22)[20]
AML1/ETO gene(+)
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
光顕的所見から分化傾向を伴うAML-M2と診断された。
アウエル小体は長いものや短いものなどがみられ、染色体では8;21転座、AML1/ETO遺伝子が証明されAML-t(8;21)を支持するものであった。診断後、JALSG-AML95(AraC,IDR)の治療がなされた。地固め療法には、AraC,MIT、BHAC,AraC、BHAC,ADRがなされた。維持療法には、BHAC,DNR,6MPがなされた。1年後、HLA一致の姉より自己骨髄移植が施行され、急性GVHD(皮膚3、重症度Ⅱ)のもと生着した。その後、無再発寛解中である。
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