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本型は赤芽球系前駆細胞が増殖する病型でM6bとして分類される。
形態像は私見から一般に大型で、細胞質の好塩基性は強く、突起や空胞がみられ、核形不整や核小体が顕著なことが多い。ただ背景に成熟赤芽球の混... (続きを読む)
本型は赤芽球系前駆細胞が増殖する病型でM6bとして分類される。
形態像は私見から一般に大型で、細胞質の好塩基性は強く、突起や空胞がみられ、核形不整や核小体が顕著なことが多い。ただ背景に成熟赤芽球の混在を捉えれば意外と診断に結びつく可能性がある。
また細胞化学染色では、PAS染色に陽性の場合は顆粒状の陽性がみられる。ACP染色ではゴルジ野あたりに凝集塊状の陽性を呈する。
本例は形態学的に末梢血、骨髄の芽球様細胞は大型で多辺形の核を有し、好塩基性の細胞質には小さな空胞を認め、光顕的にはどの帰属にあたるのか同定困難であった。ただ、背景に成熟赤芽球が散見されたことで、未熟赤芽球を疑った。骨髄細胞コロニー培養細胞はエリスロポエチン添加によりコロニー形成が認められたため、未熟な赤芽球系の増殖とみなし、Early(Pure)erythroidleukemia (AML-M6b)と診断された。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性骨髄性白血病 (AML)
> 赤白血病 (M6)
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性別 |
男
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年齢 |
60-64
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取得年代 |
1995-1999
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主訴 |
心悸亢進、貧血。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
心悸亢進にて近医を受診したところ、血液検査にて貧血と芽球様が出現したため白血病が疑われ当科紹介入院となった。
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検査所見 |
WBC 7,800/μl(芽球12, St-Seg39, Ly39, Mo.6, Eo4%)
RBC 220万/μl、Hb 7.1g/dl、Ht 18.6%、PLT 8.1万/μl
MCV 84.5fl、MCH 32.2pg、MCHC 38.1%、
NCC 16.1万/μl、MgK 200/μl(芽球50%)、
LD 2,100IU/l、CRP 2.25mg/dl
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末梢血所見 |
白血球正常の分類にて芽球様が12%みられた。
それらは大型でN/C比は高いものから低いものがみられ、クロマチンは粗荒で好塩基性の細胞質に空胞を認めるものがあった。
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骨髄所見 |
正形成像にて芽球様は80%みられた。
それらは大型で核は多辺形、クロマチンは粗網状、核小体は不明瞭で好塩基性の細胞質には空胞がみられた。
芽球様の他に周囲には僅かに成熟赤芽球が散見された。
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細胞化学所見 |
芽球様はPO染色、SBB染色、EST染色に陰性であった。
PAS染色では一部に顆粒状と点状の陽性がみられた。
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形態診断 |
末梢血、骨髄での芽球様は大型で多辺形の核を有し、好塩基性の細胞質には小さな空胞を認め、光顕的にはどの帰属にあたるのか同定困難であった。
ただ、背景に成熟赤芽球が散見されたことで、この系列の芽球を想定し表現型の結果待ちとなった。
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免疫学的所見 |
CD36・glycophorin A・hemoglobin (+)
CD34・CD41・HLA-DR (-)
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分子生物学的所見 |
46,XY[20]
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
光顕的に同定は困難であり、未熟な赤芽球か巨核芽球が疑われた。骨髄細胞コロニー培養細胞はエリスロポエチン添加によりコロニー形成が認められたため、未熟な赤芽球系の増殖とみなし、Early(Pure)erythroidleukemia (AML-M6b)と診断された。背景にみられた極一部の赤芽球がこの系列を疑うポイントかも知れない。
(本例は宮崎泰雄先生のご提供によるもの)
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