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巨核芽球の特徴と問題点について私見を混じえ下記に述べる。
芽球は大小不同性がみられ、薄染状や濃染状の核を有する二種類のものがみられる。表現型では、①CD7、②CD13・33、③CD41・42・61の陽性が多いことか... (続きを読む)
巨核芽球の特徴と問題点について私見を混じえ下記に述べる。
芽球は大小不同性がみられ、薄染状や濃染状の核を有する二種類のものがみられる。表現型では、①CD7、②CD13・33、③CD41・42・61の陽性が多いことから、T細胞、骨髄系、血小板系の要素をうかがえるような所見である。芽球に対するこれらのマーカーが如何に反応しているかは不明だが、上記した薄染状や濃染状の核を有する二種類の芽球の出現を予測すると、薄染状のものは骨髄系を濃染状のものは血小板系を疑うことになる。
それらを証明するには、個々の芽球をFISH法などで検索する必要があると思われる。頻度は成人でAMLの約2%とされ、小児では11%(筆者が属するCCLSGの登録から)を占める。小児に多いのはダウン症に併発することが多いためと思われる。
本例は、TMDからの移行かどうかは不明であったが、染色体の異常を伴いAML-M7の状態と思われた。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性骨髄性白血病 (AML)
> 巨核球性 (M7)
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性別 |
男
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年齢 |
00-04
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
微熱、紫斑。
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既往歴 |
ダウン症候群にて出生後、一過性骨髄増殖性疾患(transient myeloproliferative disorder:TMD)の既往歴あり。
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現病歴 |
一過性骨髄増殖性疾患(TMD)で観察中、血液像にて芽球がみられたことより当科に入院となった。
出血傾向(+)。
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検査所見 |
WBC 7,790/μl(芽球17%)RBC 390万/μl、Hb 11.6g/dl、Ht 34.0%、MCV 87.1fl、MCH 29.7pg、MCHC 34.1%,
PLT 1.0万/μl、NCC 9.8万/μl、MgK 62.5/μl(芽球60%)
LDH 887IU/l
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末梢血所見 |
白血球は正常にて芽球が17%みられた。それらはN/C比が高く、核は類円形で、クロマチンは粗荒、好塩基性の細胞質と核小体を認めた。全視野中に小型の巨核球がみられた。
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骨髄所見 |
低形成像にて芽球は60%みられ、大型でN/C比は高い傾向にあり、一部に核形不整や核小体を認めた。
細胞質は全般に好塩基性が強く、一部に突起を有していた。
なかにはアズール顆粒を認めるものや巨核球系の成熟型もみられた。
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細胞化学所見 |
芽球はPO染色、PAS染色、EST染色は陰性であった。
ACP染色ではゴルジ野あたりに凝集状の陽性を認めた。
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形態診断 |
骨髄にて芽球は60%みられ、好塩基性の細胞質には突起がみられ、クロマチンは粗荒であった。
背景には巨核球系(小型や2核が)みられたことより、芽球は血小板の系統と考えAML-M7を疑った。
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免疫学的所見 |
CD7・CD13・CD33・CD41・CD56・CD71・CD117 (+)
CD11c・CD14・HLA-DR・MPO (-)
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分子生物学的所見 |
46,XY,der(14;21)(q10;q10),+21[6]
46,idem,der(5;7)(q10;q10),+8[14]
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
芽球の光顕的所見と表現型よりAML-M7と診断された。TMDからの移行かどうかは不明であったが、染色体の異常については、①元来の体細胞の染色体異常(ロバートソン転座)で、②は新加入の異常で白血病由来と考えられた。
(小児がん・白血病研究グループの登録例)
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