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AML-M2で8;21転座の核形異常を伴う病型は、腫瘤形成などを併発し、再発を最小限に留めれば予後は良好とされる。形態診断が診断を裏付けるとが多いため形態異常をしっかり捉えることが重要である。
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AML-M2で8;21転座の核形異常を伴う病型は、腫瘤形成などを併発し、再発を最小限に留めれば予後は良好とされる。形態診断が診断を裏付けるとが多いため形態異常をしっかり捉えることが重要である。
本例は骨髄の芽球が90%未満(実際は75%)で、顕著な核形不整や明瞭な核小体を有しアウエル小体を認めた。また好酸球の増加もみられた。PO染色は強陽性ではなかったが75%が陽性であったのでAML-M2を疑った。さらに、芽球の形態像からt(8;21)M2も範疇とした。しかし好酸球の増加と形態より病的な好酸球を伴うAML-M4(M4Eo)は除外診断として考えた。後報告にてt(8;21)やAML/ETO遺伝子が証明され、染8;21転座型M2と診断された。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性骨髄性白血病 (AML)
> 成熟を伴うAML (M2)
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性別 |
女
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年齢 |
10-14
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取得年代 |
2005-2009
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主訴 |
動悸、倦怠感。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
1ヶ月前動悸を訴え放置していた。最近息切れが続くようになり当科を受診された。貧血と血液像にて芽球が72%みられたので当科入院となった。出血傾向あり。
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検査所見 |
WBC 11,300/μl(芽球72%)
RBC 172万/μl、Hb 6.0g/dl、Ht 17.0%、
MCV 98.8fl、MCH 34.8pg、MCHC 35.2%、PLT 1.2万/μl、 NCC 26.2万/μl、MgK 0/μl (芽球75%, Eo10%)
LDH 621IU/l、FDP 4.2μg/ml
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末梢血所見 |
白血球増加(11,300/μl)にて芽球は72%みられた。
芽球はN/C比は高く、核形不整や核小体を認めた。
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骨髄所見 |
正形成像にて芽球は75%、好酸球は10%みられた。
芽球は大小不同性で、核形不整や核小体を有し、アウエル小体は長いものや短いもの、また松葉状のものが一部にみられた。
好酸球には粗大な異常顆粒もみられた。
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細胞化学所見 |
PO染色にて芽球は75%が弱~強陽性であった。ブチレートEST染色にて単球は陰性であった。
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形態診断 |
骨髄の芽球は90%未満(実際は75%)で、核形不整や核小体を有しアウエル小体を認めた。
PO染色は強陽性ではなかったが75%が陽性であったのでAML-M2を疑った。さらに、芽球の形態像からt(8;21)M2も範疇とした。
また周囲の好酸球の形態を考えると、病的な好酸球を伴うAML-M4(M4Eo)は除外診断として考えた。
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免疫学的所見 |
CD13・CD19・CD33・CD34・HLA-DR (+)
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分子生物学的所見 |
①46,XX,t(8;21)(q22;q22)[20]
②ETO/MTG8 gene(+)
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
光顕的にAML-M2、M4Eoを疑って染色体検査の結果待ちとなった。FISH法にてAML/ETO遺伝子が証明され、染色体分染法にてt(8;21)が証明され、AML-t(8;21)M2と診断された。
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