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本例はWHOの診断基準(2001)から、持続的な血小板数の増加(60万/μl;本例は157万/μl)と骨髄で大型化した成熟巨核球をはじめとする巨核球系の増加は本態性血小板血症を支持するものとなった。
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本例はWHOの診断基準(2001)から、持続的な血小板数の増加(60万/μl;本例は157万/μl)と骨髄で大型化した成熟巨核球をはじめとする巨核球系の増加は本態性血小板血症を支持するものとなった。
血小板機能については粘着能の低下、血小板第3因子の低下、血小板凝集ではアドレナリンの欠如がみられた。鑑別疾患となるPVとは赤血球増加がないこと、MFとは巨脾がないことや髄外造血がみられないこと、CMLとはNAPが正常であることやPh染色体が証明されなかったことなどがあげられる。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> その他
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性別 |
女
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年齢 |
55-59
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取得年代 |
2000-2004
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症例の種類 |
典型例
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主訴 |
めまい、高血圧
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既往歴 |
特になし
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現病歴 |
頭重感、疼痛、発赤
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検査所見 |
RBC 400万/μl、Hb 11.8g/dl、Ht 33.0%、MCV 82.5fl、MCH 29.5pg、MCHC 35.7%、PLT 157万/μl
WBC 13,200/μl、NCC 9.5万/μl、MgK192.5/μl、LD 602IU/l、NAP(PR 75%、PS260)
血小板機能検査:血餅退縮正常、粘着能の低下、血小板第3因子の低下、
血小板凝集検査:ADP、コラーゲンの亢進、アドレナリンの欠如、凝固検査:PT軽度延長
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末梢血所見 |
白血球増加(13,200/μl)に異常はなく、血小板の著明な増加がみられた。
血小板増加の形態については全般に小型(2μm以下)が主体であるが、なかには大型(5μm大)のものや裸核状の巨核球がみられる。
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骨髄所見 |
骨髄はdry tapにおいて低形成であったが線維化は認めず巨核球数の増加(192.5/μl)がみられた。芽球の増加はなく、巨核球については大型のものや2核の円形核や単円形核などの形態異常がみられた。周囲の血小板についてはシート状の集塊形成を認め、血小板の大小不同や奇形、巨大血小板などもみられた。
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細胞化学所見 |
末梢血のNAP染色は正常領域であった。骨髄のアズール好性の巨核球にPAS染色が陽性であった。
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形態診断 |
末梢血、骨髄所見から芽球の増加はみられないものの、著増する血小板や巨核球の形態異常や機能異常が診断に重要な所見と思えた。広義の骨髄増殖性疾患を考え、その主体は血小板系にあることから本態性血小板血症(ET)を疑った。
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免疫学的所見 |
N.D
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分子生物学的所見 |
46,XX
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リンパ節所見 |
N.D
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臨床診断 |
WHOの診断基準(2001)から、持続的な血小板数の増加(60万/μl;本例は157万/μl)と骨髄で大型化した成熟巨核球をはじめとする巨核球系の増加は本態性血小板血症を支持するものとなった。
血小板機能については粘着能の低下、血小板第3因子の低下、血小板凝集ではアドレナリンの欠如がみられた。鑑別疾患となるPVとは赤血球増加がないこと、MFとは巨脾がないことや髄外造血がみられないこと、CMLとはNAPが正常であることやPh染色体が証明されなかったことなどがあげられる。
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