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 芽球増加を伴う不応性貧血 (RAEB-Ⅰ)は血球減少を主体に以下の形態像を示す。
1)末梢血:芽球は5%未満、アウエル小体(-)、単球は1000/μl未満。
2)骨髄:1~3系統に異形成が10%以上、芽球は5~9%、ア...
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 芽球増加を伴う不応性貧血 (RAEB-Ⅰ)は血球減少を主体に以下の形態像を示す。
1)末梢血:芽球は5%未満、アウエル小体(-)、単球は1000/μl未満。
2)骨髄:1~3系統に異形成が10%以上、芽球は5~9%、アウエル小体(-)。
     
 本例は、汎血球減少症にて大球性正色素性貧血を呈し奇形赤血球を認めた。芽球は末梢血に2%、骨髄で7%みられ、他に2系統に形態異常を認めたためMDSを疑った。MDSの診断基準に従うと、骨髄の芽球が5~9%、末梢血の芽球が5%以下よりRAEB-Ⅰ(FAB:RAEB)を考えた。
Fe染色にて環状鉄芽球が全赤芽球中の15%以上(実際は20%)認めたことより環状鉄芽球を伴ったものと思われた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 骨髄異形成症候群 (MDS) > 芽球の増加を伴う不応性貧血
性別
年齢 55-59
取得年代 2005-2009
主訴 倦怠感。
既往歴 特になし。
現病歴 倦怠感で来院し血液検査にて芽球がみられ、精査のため骨髄穿刺が施行された。
検査所見 WBC 3,540/μl (芽球2, St-Seg66, Ly20, Mo6, Eo5, Ba1%)RBC 319万/μl、Hb 10.5g/dl、Ht 33.2%、
MCV 104.0fl、MCH 32.9pg、MCHC 31.6%、PLT 11.0万/μl、NCC 16.2万/μl、Mgk 75.0/μl、
LD 582IU/l、TP 7.0g/dl、CRP 0.78mg/dl
末梢血所見 大球性正色素性貧血の血液像にて、赤血球には奇形赤血球の形態異常を認め芽球が2%にみられた。
骨髄所見 ほぼ正形成の骨髄には赤芽球が優位(M/E比0.42)であった。
異形成として、
①顆粒球系:偽ペルゲル核異常、低顆粒、
②赤芽球系:核融解、2核、巨赤芽球様変化が高い頻度でみられた。
芽球様細胞は7%で上記の形態異常は10%以上にみられた。
細胞化学所見 PO染色では好中球に部分的陽性がみられ、Fe染色では環状鉄芽球を全赤芽球中の20%に認めた。PAS染色は赤芽球に陰性であった。芽球はPO染色に陰性であったがMDSの病態を考えればおかしくないパターンと思われた。
形態診断 骨髄にて芽球は7%、末梢血に2%の出現と2系統の形態異常を加味しMDSを疑った。MDSの診断基準に従うと、骨髄の芽球が5~9%、末梢血の芽球が5%以下よりRAEB-Ⅰ(FAB:RAEB)を考えた。
Fe染色にて環状鉄芽球が全赤芽球中の15%以上(実際は20%)認めたことより環状鉄芽球を伴ったものと思われた。
免疫学的所見 CD13・CD33・CD34・CD38 (+)
分子生物学的所見 44,XY,der(1)(q21),add(4)(p16),-5,del(7) (q22q32),del(16)(q13),add(17)(p11)[11]
43,idem,-dic(15;20)8p11;q11[1]
45,X-Y[1]
46,XY[1]
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 骨髄における芽球の割合(7%)と2系統の形態異常、そして末梢血の芽球の割合(2%)よりMDSのRAEB-Ⅰと診断された。
本症は環状鉄芽球を伴うものであった。
染色検査においてMDSを支持するような複雑な核型異常が認められた。