■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 形質細胞骨髄腫は、欧米では全悪性腫瘍の約1%、全造血器腫瘍の約10~15%を占め[Devesaら.1987]黒人に多いとされる。本邦では人口10万人当たり約2人の発症率とされる。発症年齢のピークは60歳代とされる。
SW...
(続きを読む)
 形質細胞骨髄腫は、欧米では全悪性腫瘍の約1%、全造血器腫瘍の約10~15%を占め[Devesaら.1987]黒人に多いとされる。本邦では人口10万人当たり約2人の発症率とされる。発症年齢のピークは60歳代とされる。
SWOG[Durie BGM.1986]の診断基準によると、①生検で形質細胞腫の確認、②骨髄で30%以上の形質細胞の出現、③モノクローナルな蛋白の存在
:IgG>3.5g/dl,IgA>2.0g/dl,BJP>1.0g/日(アミロイドージスなし)が確定診断につながる。
     
 本例は、光顕的、免疫血清検査の所見から多発性骨髄腫(IgG、λ)と診断された。リンパ節生検による病理学的診断では、増殖する細胞には核形不整を有するリンパ球と形質細胞の彌慢性増殖を認め形質細胞骨髄腫と診断された。治療にはVAD療法が施行された。
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > B細胞白血病 > 多発性骨髄腫 (MM)
性別
年齢 60-64
取得年代 2000-2004
主訴 腰痛、貧血。
既往歴 特になし。
現病歴 腰痛にて来院し、血液検査にて貧血を指摘された。
精査のため骨髄検査が施行された。
頚部リンパ節腫脹(+)
検査所見 WBC 2,830/μl、RBC 263万/μl、Hb 9.4g/dl、Ht 24.5%、
MCV 93.1fl、MCH 35.7pg、MCHC 38.3%、PLT 15.9万/μl、
LDH 216IU/l、Ca 8.9mg/dl、TP 10.9g/dl、
IgG 10,000mg/dl(λ型)
末梢血所見 白血球(2,830/μl)の分類にてリンパ球は74%と増加しているが、形態異常はみられない。
赤血球に連銭形成の異常がみられた。
骨髄所見 正形成像にて単核から多核の形質細胞の増加(52%)がみられる。
細胞化学所見 形質細胞はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
ACP染色では散在性や一部に限局性の陽性がみられた。
形態診断 形質細胞は形態学的ならびにPO染色が陰性よりリンパ系を考え、核偏在性などの所見を加味して多発性骨髄腫を考えた。
免疫学的所見 CD38,CD56,CD58,CD79a,CD138(+),cIg(+)
CD19,CD20(-),sIg(-)
分子生物学的所見 46,XY,13q14
リンパ節所見 【病理組織診断】
増殖する細胞には核形不整を有するリンパ球と形質細胞の彌慢性増殖を認め形質細胞骨髄腫と診断された。
臨床診断 光顕的、免疫血清検査の所見から多発性骨髄腫(IgG、λ)と診断された。
治療にはVAD療法が施行された。