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 本例は、光顕的所見ならびにDIC所見よりAML-M3と診断された。
染色体では15;17転座やPML-RARα遺伝子が証明された。
診断後JALSG-APLに登録、AraC,IDA,ATRAにて治療が開始され、その後地固め療法(AraC,MIT,ETP...
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 本例は、光顕的所見ならびにDIC所見よりAML-M3と診断された。
染色体では15;17転座やPML-RARα遺伝子が証明された。
診断後JALSG-APLに登録、AraC,IDA,ATRAにて治療が開始され、その後地固め療法(AraC,MIT,ETP,IDR)がなされ4回目のCRを迎え経過観察中である。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 顆粒豊富なAPL (M3)
性別
年齢 70-74
取得年代 2000-2004
主訴 発熱、下肢に出血斑。
既往歴 1年前に胃癌の手術を施行される。
現病歴 発熱(38℃~39℃)と下肢の出血斑や軽度の鼻出血を認める。肝脾腫、リンパ節腫脹は認めない。
検査所見 WBC 14,580/μl (Ab.Promy84.5, St-Seg3.0, Ly12.5%)、RBC 234万/μl、Hb 8.4g/dl、Ht 25.9%、
MCV 110.6fl、MCH 35.8pg、MCHC 32.4%、
PLT 1.5万/μl、NCC 6.4万/μl、Mgk 0/μl (芽球90.0%)、LD 328IU/l、TP 6.8g/dl、PT 48%、APTT 28.7sec、Fbg 88mg/dl、FDP 1,915.8ng/ml、D-ダイマー 60.45ng/ml
末梢血所見 白血球増加(14,580/μl)にて、異常顆粒と束状のアウエル小体を有する病的前骨髄球を84.5%認めた。
骨髄所見 低形成像にて病的前骨髄球は、顕著な核形不整、異常顆粒やアウエル小体(束状あり)、また細胞質に水泡状の突起を有するものが90%みられた。
細胞質には蕾・舌状の突起を有するものもみられた。
細胞化学所見 病的前骨髄球はPO染色に陽性であるが、一部に陰性のものもみられる。EST染色では、ブチレート染色に陽性やクロロアセテート染色に陽性のものが混在していた。ブチレートに陽性については、骨髄単球系を示唆するものかもしれない。稀にAML-M3にみられる陽性パターンでもある。PAS染色は彌慢性の陽性であった。
形態診断 異常顆粒や束状のアウエル小体、歪な核形不整や突起などの所見は病的前骨髄球を裏付けるものであり、DIC所見も加味してAML-M3を疑った。
免疫学的所見 CD33(+)、CD34(+)、CD13(±)、HLA-DR(-)
分子生物学的所見 46,XX,t(15;17)(q22;q11~12)[20]
PML-RARα(+)
WT1 mRNA:4,900コピー/μgRNA
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見ならびにDIC所見よりAML-M3と診断された。
染色体では15;17転座やPML-RARα遺伝子が証明された。
診断後JALSG-APLに登録、AraC,IDA,ATRAにて治療がなされた。その後地固め療法(AraC,MIT,ETP,IDR)がなされ4回目のCRを迎え経過観察中である。