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 前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の約1/3の症例でT細胞受容体遺伝子(TCR)を巻き込んだ転座がみられる。14q11.2のTCRα/δ遺伝子、7q35のTCRβ遺伝子、7p14-15のTCRγ遺伝子と転座を形成する多様なパートナ...
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 前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の約1/3の症例でT細胞受容体遺伝子(TCR)を巻き込んだ転座がみられる。14q11.2のTCRα/δ遺伝子、7q35のTCRβ遺伝子、7p14-15のTCRγ遺伝子と転座を形成する多様なパートナー遺伝子が報告されている。そして予後は高いリスク群として扱われる。
     
 本例は、末梢血、骨髄、リンパ節に増加、増殖するリンパ球様細胞は未熟リンパ芽球であり、表現型は前駆T細胞を思わせるものであり、前駆T細胞性リンパ芽球性白血病と診断された。
CPM、DNR、VCR、PSLの治療が開始され、約2ヶ月後に地固め療法(MTX,DEXA,CPA,ADM,VCR,PSL)にて経過観察中である。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性リンパ性白血病 (ALL) > L2;大細胞性、不均一性、N/C比低い
性別
年齢 55-59
取得年代 1995-1999
主訴 倦怠感。
既往歴 特になし。
現病歴 全身倦怠感、縦隔腫瘤あり。
頚部リンパ節腫脹(+)、肝脾腫(-)
検査所見 WBC 12,150/μl
(芽球44, My-Met3, St-Seg25, Ly25, Eo3%)
RBC 393万/μl、Hb 11.8g/dl、Ht 36.9%、PLT 11.6万/μl、
MCV 93.9fl、MCH 30.0pg、MCHC 31.9%、NCC 9.6万/μl、MgK 0/μl (芽球82%)、LD 1,360IU/l、CRP 1.06mg/dl、TP 6.6g/dl、BUN 9.7mg/dl、Ca 9.0mg/dl、AST 74IU/l、ALT 83IU/l、UA 6.0mg/dl、Fbg 320mg/dl
末梢血所見 血液像にて芽球が44%みられ、N/C比は低く核小体を認めるものがあった。
骨髄所見 小型~中型でN/C比が高い芽球が82%みられ、クロマチンは粗荒で一部に核形不整や核小体を認めた。
細胞化学所見 芽球はPO染色、EST染色に陰性であった。
PAS染色では極一部に粗大顆粒状の陽性がみられリンパ芽球を支持するものであった。
形態診断 末梢血、骨髄の芽球は、形態学的ならびにPAS染色の陽性態度よりリンパ芽球を考えALLと診断した。
芽球の起源については表現型に依存することになる。
免疫学的所見 TdT,CD3,CD4,CD5,CD7,CD8(+)、TCRα遺伝子(+)
CD10,CD19,HLA-DR(-)
分子生物学的所見 ①46,XX‥20/20
リンパ節所見 リンパ球様細胞のび慢性増殖のなか分裂像がみられる。
それらは一部に核形不整や核小体を有するものであった。
臨床診断 末梢血、骨髄、リンパ節に増加、増殖するリンパ球様細胞は未熟リンパ芽球であり、表現型より前駆T細胞性リンパ芽球性白血病と診断された。
CPM、DNR、VCR、PSLの治療が開始され、約2ヶ月後に地固め療法(MTX,DEXA,CPA,ADM,VCR,PSL)にて経過観察中である。