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 AML-M2で8;21転座の核形異常を伴う病型は、腫瘤形成などを併発し、再発を最小限に留めれば予後は良好とされる。
形態診断が診断づけることが多いため下記に私見をまとめる。
①芽球は大小不同性で核形不整は...
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 AML-M2で8;21転座の核形異常を伴う病型は、腫瘤形成などを併発し、再発を最小限に留めれば予後は良好とされる。
形態診断が診断づけることが多いため下記に私見をまとめる。
①芽球は大小不同性で核形不整は顕著、核小体は明瞭である。
②芽球は多様なアウエル小体(長い・短い・松葉状)を有する。
③顆粒球系の細胞質に好塩基性の縁取り(芽球の分化?)を認める。
④顆粒球系に偽ペルゲル核異常や低顆粒を認める。
⑤骨髄に好酸球や好塩基球の増加がみられる。
⑥PO染色が強陽性(芽球~好中球)である。
⑦CD13,CD33の発現が弱くCD34が強い場合がある。CD19の陽性例もある。
⑧性染色体の欠失がある(50%)
(第35回日本小児血液学会発表:小児AML12例の検討.阿南.1993)
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 成熟を伴うAML (M2)
性別
年齢 05-09
取得年代 2000-2004
主訴 出血傾向。
既往歴 特になし。
現病歴 出血傾向、リンパ節腫大。
検査所見 WBC 21,400/μl、RBC 193万/μl、Hb 6.3g/dl、
Ht 18.9%、MCV 97.9fl、MCH 32.6pg、MCHC 33.3%、PLT 8.5万/μl、NCC 42.3万/μl(40%)、
LD 619IU/l、FDP 0.6mg/ml
末梢血所見 白血球増加(21,400/μl)にて歪な核形不整の芽球が56%みられた。なかにはアウエル小体を認めるものがある。
芽球の起源を知るには当然のように骨髄の光顕的所見が重要である。
骨髄所見 過形成像にて芽球と顆粒球系が優位で、芽球は40%で以降分化傾向が見られた。芽球の形態は、大小不同性で、全般に核形不整が強く、明瞭な核小体を有し、アウエル小体は一部に認めた。
なかにはアズール顆粒を有するType-Ⅲ芽球もみられた。
成熟型には細胞質に好塩基性の縁取り(芽球が分化した可能性)がみられた。
細胞化学所見 PO染色は芽球から好中球にかけて強陽性の所見であった。
従って芽球の起源は骨髄系と判断した。
非特異的EST二重(N-EST)染色は顆粒系に優位の染色態度であった。
形態診断 骨髄にてPO染色の陽性芽球が20%以上(40%)よりAML-M2を考えた。PO染色の陽性態度は芽球から好中球まで強陽性であり、上述の形態所見から8;21転座型AMLも考えた。
ただ本型では特徴的なアウエル小体の出現が乏しい。
染色体検査が待ち遠しい症例である。
免疫学的所見 CD13・CD33・MPO・HLA-DR(+)
分子生物学的所見 ①45,X,Y-Y,der(8)t(8;21)(q22;q22),der(9)add(9)(p11)add(9)(22),add(21)(q11)[18]
46,XY[2]
②FISH:AML1/ETO (86.2%)
遺伝子検査
①AML1-MTG8:1.9×105/μgRNA ②WT1:6.4×104/μgRNA
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 骨髄で芽球が20%以上(実際は40%)よりAML-M2が考えられた。
特徴ある形態像と染色体でt(8;21)の核型異常、そしてAML1/ETO遺伝子異常を認めたことより、8;21転座型AML-M2と診断された。