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  本型(aCML)はPh染色体が陰性であることがCMLと異なる。
芽球は末梢血では5%未満で、幼若顆粒球は10~20%、単球は10%を越すことは稀で、形態学的には、顆粒球系(好中球)にのみ形態学的異形成を認める。...
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  本型(aCML)はPh染色体が陰性であることがCMLと異なる。
芽球は末梢血では5%未満で、幼若顆粒球は10~20%、単球は10%を越すことは稀で、形態学的には、顆粒球系(好中球)にのみ形態学的異形成を認める。異形成として、巨大化、低顆粒や脱顆粒、偽ペルゲル核異常、輪状核などがみられる。他の染色体異常として、+8,+13,del(20q),i(17q),
del(12p)の異常が80%にみられる[Costello R,et al.1997]。少数例の予後は生存中央値が20ヶ月とされ、血小板減少と著明な貧血が予後不良因子とされる[Hernandez JM,et al.2000]。
 
 本例は、末梢血、骨髄ともに芽球の増加はなく、双方に好中球に偽ペルゲル核異常がみられた。全体像からCMLを疑ったが好酸球や好塩基球の増加はなく、NAP活性が高いことよりCMLの亜型として検索を進めた。結局、Ph染色体、BCR-ABL遺伝子を認めなかったことよりaCMLと診断された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 65-69
取得年代 2000-2004
主訴 膝部痛。
既往歴 心筋梗塞。
現病歴 1ヶ月前、膝後部痛を訴え、その後大腿部、足関節、肩関節痛と拡大した。さらに全身倦怠感、食欲低下になり、咽頭痛、右後頚部痛が出現したため近医受診する。
白血球増加を指摘され当科紹介受診する。
頚部リンパ節腫脹(+)、肝脾腫(+)
検査所見 WBC 55,100/μl(Blast1, Promy4, My6, Met1, St-Seg74, Mo4, Ly10%, Ebl.3/100w)
RBC 338万/μl、Hb 9.1g/dl、Ht 28.3%、MCV 83.7fl、MCH 26.9pg、MCHC 32.1%、PLT 22.9万/μl、NCC 124.0万/μl、Mgk 440/μl(芽球2.6%, M/E7.6)、LD302IU/l、TP 7.0g/dl、ALB 2.8g/dl、CRP 4.9mg/dl、BUN 26.3mg/dl、Ca 7.8mg/dl、AST 33IU/l、ALT 43IU/L、VB12 2,490pg/ml
末梢血所見 白血球著増(55,100/μl)の分類にて芽球は1%、幼若顆粒球11%、好中球74%であった。
好中球には偽ペルゲル核異常を認めた。
他に大型赤血球や大型血小板や巨大血小板がみられた。
赤芽球を3/100wに認めた。
骨髄所見 過形成像(124万/μl)にて芽球は2.6%で、M/E比が7.63とやや顆粒球系が優位であった。
顆粒球系に偽ペルゲル様核異常、低顆粒がみられた。赤芽球系には成熟型に核異型性、巨核球系に小型巨核球がみられた。
細胞化学所見 顆粒球系におけるPO染色の陽性態度に著変はみられなかった。
NAP染色では陽性率は92%、陽性指数258と正常域であった。
形態診断 末梢血、骨髄ともに芽球の増加はなく、骨髄の形態異常は顆粒球系に偽ペルゲル核異常や低顆粒が多くみられた。全体像から慢性骨髄増殖性疾患を疑うものであった。
CMLについては、好酸球や好塩基球の増加がみられないことやNAP活性が高いことより除外診断として検索を進めた。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 ①46,XY,i(17)(q10)‥5/5cell
②FISH法にてBCR-ABL(-)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血において成熟および幼若顆粒球の増加に伴う白血球増加と骨髄では顆粒球の異形成が主であったことよりCMLの亜型を疑った。後報告でPh染色体、BCR-ABL遺伝子を認めなかったことよりCMLが否定されatypical CMLと診断された。
染色体ではi(17q)の異常を認めた。