■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 8;21転座のAMLはt(8;21)(q22;q22)の核型異常とAML1/ETO遺伝子が証明される。AML全体の5~12%、AMLではM2に多く30~40%にみられる。
表現型ではCD13、CD33、CD34、MPOが陽性でCD19(リンパ系)の発現もある。...
(続きを読む)
 8;21転座のAMLはt(8;21)(q22;q22)の核型異常とAML1/ETO遺伝子が証明される。AML全体の5~12%、AMLではM2に多く30~40%にみられる。
表現型ではCD13、CD33、CD34、MPOが陽性でCD19(リンパ系)の発現もある。遺伝子異常ではt(8;21)(q22;q22)によって転写因子core-binding factor(CBF)のヘテロ二量体を構成するサブユニットの1つであるCBFαをコードするAML1遺伝子とETO遺伝子の間に再構成が生じる。
     
 本例は、芽球は骨髄で20%以上(実際は48.4%)でPO染色に陽性よりAML-M2を考えた。芽球は核形不整が強く、アウエル小体を有し、幼若顆粒球の細胞質に好塩基性の縁取りなどがみられたことより8;21転座AMLも考慮すべきと思われた。後報告にて染色体の核型異常では8;21転座、AML1/ETO遺伝子が証明されAML-t(8;21)を支持するものとなった。
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 成熟を伴うAML (M2)
性別
年齢 15-19
取得年代 1995-1999
主訴 発熱、倦怠感。
既往歴 特になし。
現病歴 発熱、副鼻腔炎、貧血。
検査所見 WBC 6,760/μl(芽球46, My7, Met9, St-Seg18, Mo2,
Ly18%)、RBC 251万/μl、Hb 8.2g/dl、Ht 24.2%、
MCV 96.4fl、MCH 32.6pg、MCHC 33.8%、PLT 2.6万/μl、NCC 8.7万/μl、Mgk 6.25/μl(芽球48.4%)、LD 3,370IU/l、CRP 3.35mg/dl、UA 7.8mg/dl、Ca 8.3mg/dl、AST 39IU/l、ALT 23IU/L、Fbg 497mg/dl
末梢血所見 白血球正常の血液像にて芽球が46%みられ、アウエル小体を認めたため骨髄系を考えた。
骨髄所見 低形成像にて芽球は48.4%で分化傾向がみられるが、好中球までの分化は乏しいようであった。
芽球は大小不同性で核形不整や核小体を有しアウエル小体(長いもの、短いもの)を認めた。分化傾向の幼若型に細胞質に好塩基性の縁取りがみられた。
細胞化学所見 芽球はPO染色に陽性で、PAS染色に陰性、ブチレートEST染色も陰性であった。
形態診断 芽球は骨髄で20%以上(実際は48.4%)みられ、それらはPO染色に陽性よりAML-M2を示唆するものであった。
芽球は核形不整が強く、アウエル小体を有し、幼若顆粒球の細胞質に好塩基性の縁取りなどがみられたことより8;21転座AMLも考慮すべきと思われた。
免疫学的所見 CD19(19.2%)、CD13(47.1%)、CD33(52.1%)、CD34(66.1%)、HLA-DR(95.9%)
分子生物学的所見 46,XY,t(8;21)(q22;q22)[20]
AML1/ETO gene(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見から分化傾向を伴うAML-M2と診断された。
アウエル小体は長いものや短いものなどがみられ、染色体では8;21転座、AML1/ETO遺伝子が証明されAML-t(8;21)を支持するものであった。診断後、JALSG-AML95(AraC,IDR)の治療がなされた。地固め療法には、AraC,MIT、BHAC,AraC、BHAC,ADRがなされた。維持療法には、BHAC,DNR,6MPがなされた。1年後、HLA一致の姉より自己骨髄移植が施行され、急性GVHD(皮膚3、重症度Ⅱ)のもと生着した。その後、無再発寛解中である。