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 本例は、光顕的所見ならびにDIC所見よりAML-M3と診断された。
染色体では15;17転座やPML-RARα遺伝子が証明された。
入院翌日よりDICの治療(フラグミン,FOY)が、並行してAML99-M3プロトコール(ATRA,CA,DNR)が...
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 本例は、光顕的所見ならびにDIC所見よりAML-M3と診断された。
染色体では15;17転座やPML-RARα遺伝子が証明された。
入院翌日よりDICの治療(フラグミン,FOY)が、並行してAML99-M3プロトコール(ATRA,CA,DNR)がなされた。治療20日目頃から前頭部痛、嘔気関節痛を来たすようになりATRA症候群の疑いにてPSLの投与を施行し痛みは軽快した。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 顆粒豊富なAPL (M3)
性別
年齢 05-09
取得年代 2000-2004
主訴 出血傾向、汎血球減少。
既往歴 喘息(軽度)。
現病歴 2ヶ月前、血性嘔吐があり近医を受診。
数日前より鼻出血があり、四肢に出血斑を多数認めたた近医に入院した。
入院後の検査で汎血球減少と凝固・線溶系の異常を認めたため、APLが疑われ当科へ紹介入院となった。
検査所見 WBC 1,970/μl(Ab.Promyl.5, St-Seg10, Mo1, Eo1, Ly83%)、RBC 268万/μl、Hb 8.8g/dl、Ht 25.1%、
MCV 93.6fl、MCH 32.8pg、MCHC 35.0%、
PLT 3.9万/μl、NCC 59.4万/μl(芽球86.0%)、LD 384IU/l、TP 7.5g/dl、CRP 0.26mg/dl、PT 52%、APTT 27.7sec、Fbg 79mg/dl、FDP 1,653.8ng/ml、D-ダイマー 54.45ng/ml
末梢血所見 白血球減少(1,970/μl)の分類にて、核形不整で異常顆粒を有する病的な前骨髄球を認めた。
DIC所見もありAML-M3を疑って骨髄像所見が気になるところとなった。
骨髄所見 過形成像にて核形不整で異常顆粒やアウエル小体(束状あり)を有する病的前骨髄球が86%にみられた。
細胞質には舌状の突起を有するものもみられた。
細胞化学所見 病的な前骨髄球はPO染色に細胞質一面に充満するほどの強陽性を示した。
EST染色では、N-ASD-CLAE染色に陽性であることより顆粒球系を示唆するものであった。
形態診断 汎血球減少症の末梢血や過形成の骨髄にて病的前骨髄球がみられた。
それらはファゴット細胞やPO染色に強陽性であったことより、またDIC所見からAML-M3と診断した。
免疫学的所見 CD13(35%)、CD33(92%)、CD34(15%)、HLA-DR(8%)
分子生物学的所見 46,XX,t(15;17)(q22;q11~12)[12]
PML-RARα(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的,表現型よりAML-M3と診断された。染色体では15;17転座やPML-RARα遺伝子が証明された。入院翌日よりDICの治療(フラグミン,FOY)が、並行してAML99-M3プロトコール(ATRA,CA,DNR)がなされた。治療20日目頃から前頭部痛、嘔気関節痛を来たすようになり頭部CTを施行したが異常所見がなく、ATRA症候群を疑いPSLの投与を施行し痛みは軽快した。
10日後の骨髄染色体検査では46,XXであったが、遺伝子検査ではPML-RARα融合遺伝子を認めた。
10日後強化療法第1コースがなされた。