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 急性前骨髄球性白血病(AML-M3)は著明な出血傾向と特徴的な細胞形態から独立した白血病の病型として捉えられていた。その後出血傾向が播種性血管内凝固症候群(DIC)によることが明らかにされ、1988年all-tran...
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 急性前骨髄球性白血病(AML-M3)は著明な出血傾向と特徴的な細胞形態から独立した白血病の病型として捉えられていた。その後出血傾向が播種性血管内凝固症候群(DIC)によることが明らかにされ、1988年all-trans retinoic acid(ATRA)による分化誘導療法が本症に著効を示すことが報告され今や治癒を望める白血病になった。
 AML-M3には①hypergranular promyelocyteが増殖する典型的なM3と
②hypogranular promyelocyteが主体をなす非典型型のM3variantがある。後者は、アズール顆粒は細かく電顕的にはアズール顆粒は証明されDICも併発することで臨床的にはM3と変わりない。
 
 本例はM3varint(M3v)の病型であるが、DIC所見が認められ、t(15;17)の核型異常もみられた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 低顆粒のAPL (M3variant f...
性別
年齢 20-24
取得年代 1995-1999
主訴 発熱、出血斑(+)。
既往歴 特になし。
現病歴 汎血球減少を指摘され、精査のため骨髄穿刺が行われた。
検査所見 WBC 800/μl (Ab.Promy 8%)
RBC 326万/μl、Hb 9.6g/dl、Ht 28.1%、
PLT 2.2万/μl、MCV 85.5fl、MCH 29.7pg、MCHC 34.7%、NCC 8.8万/μl、MgK 0/μl(Ab.Promy81%)、
PT 40%、Fbg 55mg/dl、FDP 160μg/ml、
D-ダイマー 14.5μg/ml
末梢血所見 白血球著減(800/μl)にて病的な前骨髄球が8%みられた。それらは核形不整が顕著で一部に微細のアズール顆粒やアウエル小体を認めるものがあった。
骨髄所見 低形成像にて病的な前骨髄球が81%みられた。核形不整が顕著で亜鈴状核を呈するものがみられ、アズール顆粒は全般に少なく、細かい傾向にあった。一部にアウエル小体がみられた。
細胞化学所見 病的な前骨髄球はPO染色に強陽性で、PAS染色に一部がび漫性陽性、EST染色に一部の顆粒球が陽性であった。
形態診断 末梢血、骨髄にみられた病的な前骨髄球は核形不整や一部に微細顆粒やアウエル小体を認めた。
それらはPO染色に強陽性であり、DIC所見もみられたことよりAML-M3を考え、典型例にしてはアズール顆粒が少ないことよりM3variantを疑った。
免疫学的所見 CD33(+)、CD13(±)、CD34(+)、HLA-DR(-)
分子生物学的所見 46,XX,t(15;17)(q22;q12)[20]
PML-RARα(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見とDIC所見、また表現型の所見よりAML-M3を考え、さらに形態像の所見を加味しAML-M3variantと診断された。後報告にてt(15;17)、PML-RARα遺伝子が証明された。JALSG-APL97-0051(ATRA, IDR, AraC)にて導入療法が開始された。約1ヶ月後に維持療法が施行され、約6ヶ月後に維持療法(BHAC, ACR, 6-MP)に入り経過観察中である。