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  本例は芽球の割合が骨髄で3%以下で病的前骨髄球様の細胞が82%みられたものである。それらはPO染色に強陽性であったが、亜鈴状核やアウエル小体はみられず、またDIC所見もないことよりAML-M3は否定することに...
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  本例は芽球の割合が骨髄で3%以下で病的前骨髄球様の細胞が82%みられたものである。それらはPO染色に強陽性であったが、亜鈴状核やアウエル小体はみられず、またDIC所見もないことよりAML-M3は否定することになった。
形態学的にはM3様、表現型はHLA-DRが陰性でM3に合致するものであったが、PML-RARα遺伝子が認められなかったことよりM3は否定されることになった。ではAMLのどの病型にあてはめるかについては、M3様の前骨髄球は分化傾向の芽球として捉えればAML-M2の範疇しかない。もちろん非典型例のM2として診断された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 成熟を伴うAML (M2)
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
主訴 左眼球突出。
既往歴 特になし。
現病歴 1ヶ月前、左眼瞼の充血、2週間前より急激に左眼球突出がみられた。CTにて眼窩後方に骨破壊を伴う腫瑠があり、眼窩外、頭蓋内に進展を認めた。その他、肋骨内側や左腸骨内側にも骨変化を伴う軟部腫瑠を認めた。
検査所見 WBC 10,600/μl (芽球1.0, Promy23.0, My3.0, Met2.0, Seg19.0, Ly43.0, Mo3.0, Eo6.0%, Ebl7/100w)、RBC 312万/μl、Hb 8.4g/dl、Ht 24.7%、
MCV 79.1fl、MCH 27.1pg、MCHC 34.0%、PLT 16.0万/μl、NCC 46.6万/μl、Mgk 0/μl (Promy74.2%)、
LD 728IU/l、CRP 0.2mg/dl、BUN 8.0mg/dl、UA 5.8mg/dl、AST 60IU/l、ALT 27IU/l、
Fbg 191mg/dl、FDP 12ng/ml、PT 75.4%、APTT 34.3sec、AT-Ⅲ 106%、フェリチン 41.8ng/ml
末梢血所見 芽球は1%、異常顆粒を有する前骨髄球が11%みられた。
骨髄所見 過形成像に芽球は2%、以降異常顆粒を有する前骨髄球が82%にみられた。それらはアウエル小体はみられず、豊富なアズール顆粒は細胞質内に納まった感じであった。
典型的なM3では顆粒が周囲に飛び散るほどの形態をとることが多いが本例ではそのような形態はみられなかった。
細胞化学所見 前骨髄球はPO染色に強陽性で、EST染色に陰性であった。
形態診断 形態学的にAML-M3を疑いたいが、それほど核異型性は見られず、周囲に飛び散るほどの顆粒の分散異常もなく、またDICもないことよりM3の形態に疑問を残した。
単一様式は腫瘍性であり、純粋な芽球の割合は3%以下と低く前骨髄球が主体であることは事実で、分化傾向にあるAMLの範疇としてM3様を呈したM2としか分類できなかった。
免疫学的所見 CD4(53.3)、CD13(20.5%)、CD33(69.7%)、HLA-DR(1.4%)
分子生物学的所見 1)PML-RARα遺伝子(real-time PCR法)の検査
①A社:末梢血にてPML-RARα含め全て陰性
②B学:骨髄のPCR法にて陰性
2)骨髄染色体分析
①A社:未解決
②B社:未解決
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 形態学的にはAML-M3が考えられたが、PML-RARα遺伝子が陰性であったことよりAML-M3は否定され、AML-M2(非典型例)として診断された。しかも眼窩腫瑠形成を伴ったAMLである。