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 多血球系異形成を伴う不応性血球減少症 (RCMD)
     RCMDは複数血球系統に数的減少と血球異形成がみられるもので、骨髄芽球は末梢血で認めないことが多く、骨髄では5%以下とされる。FAB分類でRAに分類されていた...
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 多血球系異形成を伴う不応性血球減少症 (RCMD)
     RCMDは複数血球系統に数的減少と血球異形成がみられるもので、骨髄芽球は末梢血で認めないことが多く、骨髄では5%以下とされる。FAB分類でRAに分類されていた症例の多くが本型に入る。本型に環状鉄芽球を15%以上認める例はRCMD with ringed sideroblast(RCMD-RS)とされる。
 臨床的には血球減少に伴って貧血や易感染性や出血傾向が現れる。
骨髄では血球異形成が2系統以上で10%以上認めれば本型の範疇となる。通常アウエル小体は認めないとされる。
     
 本例は、末梢血に芽球が2%、骨髄に3%、また骨髄に2系統(赤芽球、顆粒球系)に10%以上の形態異常を認めることより多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)を考えた。背景にはマクロフアージによる鉄顆粒の取り込みがみられた。 
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■症例詳細データ
FAB分類 > 骨髄異形成症候群 (MDS) > 不応性貧血 (RA)
性別
年齢 55-59
取得年代 2000-2004
主訴 倦怠感、出血斑。
既往歴 糖尿病(8ヶ月前)。
現病歴 他院にて糖尿病(8ヶ月前)で治療中、血小板減少がみられ精査のため当科紹介となる。
検査所見 WBC 3,010/μl (芽球2, St-Seg23, Ly63, Mo6, Ba3, Eo3%)
RBC 374万/μl、Hb 12.7g/dl、Ht 38.7%、PLT 4.2/μl、
MCV 103.5fl、MCH 34.0pg、MCHC 32.8%、
NCC 42.0万/μl、MgK 31.25/μl (芽球3%)、
LD 238IU/l
末梢血所見 白血球減少(3,010/μl)にて芽球は2%みられ、赤血球では奇形赤血球がみられた。
骨髄所見 過形成像にてM/E比は0.2と赤芽球系が優位で、大型細胞や2核、核融解像がみられた。
芽球は3%で顆粒球系に偽ペルゲル核異常がみられた。
細胞化学所見 PO染色やEST染色に著変はみられないが、Fe染色にてマクロフアージに鉄顆粒の取り込みがみられた。
環状鉄芽球は認めなかった。
形態診断 芽球は末梢血に2%、骨髄に3%、また骨髄にて2系統(赤芽球、顆粒球系)に10%以上の形態異常を認めることより多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)を考えた。
背景にはマクロフアージによる鉄顆粒の取り込みがみられた。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 ①46,XY,+1,der(1;7)(q10;q10)[11]
②46,XY[20]
③47,XY,+10[1]
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血と骨髄の芽球が3%以下で、顆粒球系と赤芽球系に10%以上の形態異常がみられたことよりMDSのRCMDと診断された。染色体異常も認められた。