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 形質細胞骨髄腫のM蛋白のクラス別頻度は、欧米ではIgG型50%、IgA型
20%、Bence Jones(BJ)型15%、IgD型2%とされる[Salmonら.1988]。日本ではややIgD型が多い[Tsuchiyaら.1994]。
M蛋白以外の免疫グロブリ...
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 形質細胞骨髄腫のM蛋白のクラス別頻度は、欧米ではIgG型50%、IgA型
20%、Bence Jones(BJ)型15%、IgD型2%とされる[Salmonら.1988]。日本ではややIgD型が多い[Tsuchiyaら.1994]。
M蛋白以外の免疫グロブリンは減少していることが多く、BJ型骨髄腫や非分泌型骨髄腫では血清M蛋白は検出されず、全ての免疫グロブリン値が減少している。
     
 本例は、骨髄に著増する形質細胞から多発性骨髄腫と診断された。
免疫学的にはIgD(λ)型骨髄腫と診断され、入院後MP療法、維持療法としてPDN療法が施行された。軽快されず外来で治療されていたが、診断1年後、IgD 308mg/dl、尿中BJ 404mg/dlと増悪したため再入院しデカドロンが投与された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 60-64
取得年代 2000-2004
主訴 腰痛、倦怠感。
既往歴 特になし。
現病歴 単純X線にて頭蓋、両上腕、頚椎、肋骨などに溶骨様病変を認める。
検査所見 WBC 4,070/μl (St-Seg50.0, Ly47.0, Eo1.0, Ab.ly2.0%)
RBC 219万/μl、Hb 6.7g/dl、Ht 20.6%、
MCV 94.0fl、MCH 30.6pg、MCHC 32.5%、PLT 15.9万/μl、
NCC 8.4万/μl、Mgk 6.25/μl (Ab.ly92.8%)、
LD 237IU/l、TP 7.3g/dl、CRP 0.16mg/dl、BUN 13.4mg/dl、UA 8.4mg/dl、Ca 10.3mg/dl、AST 27IU/l、IgG 400mg/dl(κ型)、lgA 10mg/dl、IgM 13mg/dl、IgD 2,610mg/dl(λ型)、尿中BJ-protein 380mg/dl
末梢血所見 血液像にて核偏在性のリンパ球が2%みられ、形態学的所見から形質細胞を思わせるものであった。
骨髄所見 低形成像にて形質細胞が92.8%みられ、中型の大きさの中に多核のものもみられた。
Greipp分類ではintermediate typeが考えられた。
細胞化学所見 形質細胞はPO染色、PAS染色に陰性であった。
形態診断 骨髄の形質細胞の増加(92.8%)は末梢血にも2%の出現をみた。免疫グロブリン定量、電気泳動よりIgD(λ)が証明されたためIgD(λ)骨髄腫を考えた。
免疫学的所見 骨髄の形質細胞はCD38、CD79a、CD138、cIg が陽性であった。
分子生物学的所見 46,XX‥20/20
リンパ節所見 【頚部リンパ節生検所見】
小型~中型の核偏在性の形質細胞の増生がみられた。
臨床診断 骨髄に著増する形質細胞から多発性骨髄腫と診断された。
免疫学的にはIgD(λ)型骨髄腫と診断され、入院後MP療法、維持療法としてPDN療法が施行された。軽快されず外来で治療されていたが、診断1年後、IgD308mg/dl、尿中BJP404mg/dlと増悪したため再入院し、デカドロンが投与された。