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 転移性小細胞癌(Metastatic small cell carcinoma)にみられる腫瘍細胞は好中球より大型な細胞が大小不同にみられ、緩い上皮性結合を反映してシート状から孤立散在性に出現する。細胞が横に連なる線状配列(イ...
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 転移性小細胞癌(Metastatic small cell carcinoma)にみられる腫瘍細胞は好中球より大型な細胞が大小不同にみられ、緩い上皮性結合を反映してシート状から孤立散在性に出現する。細胞が横に連なる線状配列(インデイアンファイル状配列)やロゼット状配列も稀ではあるが見られる。個々の細胞では相互圧排像、木目込み細工様配列と呼ばれる細胞接着面での特徴もみられる。
 核は類円形から多辺形で特に核縁が丸みを失い台形状を呈するものも多い。一般にN/C比は高く、核小体は1~数個認めることがあり、クロマチンは繊細であるが変性とともに粗となり、集団で出現する場合、両者が混在していることが多い。
 本例は、骨髄の形態像とNSEが陽性、LCAが陰性より小細胞癌の骨髄転移と診断された。骨シンチにて多発性に異常集積を頚椎、胸椎、頭蓋骨、大腿骨などに認めた。胸部CTにて、両肺にsmall nodules、両側胸水を認め、腹部CTにて肝・膵臓に多発性転移巣、両副腎転移を認めた。本型は肺原発が多いとされるが、本例は膵臓原発の可能性があり、そうだとすれば希少例である。
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■症例詳細データ
性別
年齢 50-54
取得年代 2000-2004
主訴 腰背部痛。
既往歴 特になし。
現病歴 腰背部痛を訴え来院、血液像にて白赤芽球症(leukoerythroblastosis)を指摘され精査のため入院となった。
検査所見 WBC 5,440/μl (芽球1, My~Met5, St-Seg75%,
Ebl.11/100w)
RBC 372万/μl、Hb 12.4g/dl、Ht 33.4%、PLT 5.5万/μl、
MCV 97.8fl、MCH 33.3pg、MCHC 37.1%、
NCC 15.9万/μl、MgK 31.25/μl (腫瘍細胞+)、
LD 936IU/l
末梢血所見 末梢血は芽球を含む幼若顆粒球や赤芽球の出現から類白血病反応を考えた(白赤芽球症)。
そのため骨髄像の所見が鍵を握るものと思われた。
骨髄所見 大型で集塊状の細胞がみられ、クロマチンは繊細網状~顆粒状を示すものがみられた。
それらには結合性がうかがえるものもあり、血液細胞を除外し腫瘍細胞を考えた。
細胞化学所見 腫瘍細胞はPO染色に陰性、PAS染色は陰性から顆粒状の陽性がみられた。
形態診断 骨髄の集塊細胞は偽ロゼット形成や木目込み細工像などを呈し、癌細胞の骨髄転移を考えた。高齢のことや形態学的には腺癌の様相ではないことから小細胞癌の骨髄転移を疑った。
免疫学的所見 骨髄における免疫染色でNSE(neuron specific enolase)が陽性、ケラチンが弱陽性、LCAは陰性であった。
分子生物学的所見 未施行。
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 骨髄の形態像とNSEが陽性、LCAが陰性より小細胞癌の骨髄転移と診断された。骨シンチにて多発性に異常集積を頚椎、胸椎、頭蓋骨、大腿骨などに認めた。胸部CTにて、両肺にsmall nodules、両側胸水を認めた。腹部CTにて肝・膵臓に多発性転移巣、両副腎転移を認めた。その後、転院となり、原発巣については膵臓原発の可能性があるとのことであった。