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 8;21転座AMLは通常分化型AML(M2)でよくみられるパターンであるが、まれに未分化型AML(M1)にもみられることがある。
     
 本例はPO陽性の芽球が3%以上、しかも90%以上を占めることでM1の基準をクリアしたも...
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 8;21転座AMLは通常分化型AML(M2)でよくみられるパターンであるが、まれに未分化型AML(M1)にもみられることがある。
     
 本例はPO陽性の芽球が3%以上、しかも90%以上を占めることでM1の基準をクリアしたものである。しかも芽球の形態異常から8;21転座を予測したものである。その形態異常を以下に示す。
①芽球の大小不同、②N/C比が低い、③核形不整が顕著、④核小体が明瞭、⑤アウエル小体(長い、短い、束状)を有し、⑥PO染色の強陽性などである。
アウエル小体はM2よりも出現の頻度は低いようである。
未分化型であるためM2と異なり芽球のみの形態所見がポイントになる。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 成熟を伴わない未分化型のAML (M1)
性別
年齢 05-09
取得年代 2005-2009
主訴 全身倦怠感、貧血。
既往歴 特になし。
現病歴 全身倦怠感、貧血にて当科を受診し、白血球増加と貧血および出血斑を認めたため当科へ入院となった。
検査所見 WBC 41,600/μl(芽球86%)
RBC 210万/μl、Hb 6.9g/dl、Ht 19.8%、MCV 94.2fl、
MCH 32.8pg、MCHC 34.8%、PLT 3.2万/μl、
NCC 34.5万/μl、MgK 12.5/μl(芽球91%)
FDP 2.2μg/ml、LDH 642IU/l
末梢血所見 白血球増加(41,600/μl)にて芽球は86%みられた。
それらは大小不同がみられ、N/C比はやや低く、クロマチンは繊細網状、核形不整が著しく、明瞭な核小体が特徴的であった。
骨髄所見 過形成像にて芽球は91%、核形不整が顕著で核小体も明瞭で、アウエル小体は少数だが認めた。
また、豊富なアズール顆粒を有する(TypeⅢ型)のものがみられた。それらは前骨髄球の形態ではないことで芽球として同定した。
細胞化学所見 PO染色にて芽球は100%陽性で弱から強陽性の陽性態度であった。EST染色は陰性、PAS染色も陰性であった。
形態診断 芽球は90%以上で、PO染色に100%の強陽性がみられたことより、未分化型のAML-M1を疑った。
アウエル小体は顕著ではなかったが、芽球の大小不同、著しい核形不整や明瞭な核小体などの形態異常を有していたため、8;21転座も考慮し染色体の結果待ちとした。
免疫学的所見 CD13・CD33・CD34・CD56・HLA-DR (+)
分子生物学的所見 ①45,X,-Y,t(8;21)(q22;q22)[20]
②AML1/ETO gene(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見からAML-M1と診断された。
後報告からt(8;21)とAML1/ETO遺伝子が証明され、8;21転座AML(M1)と診断された。また、本型で頻度の高い性染色体の欠損も認められた。