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 急性単芽球性白血病 (低分化型)
白血病細胞の80%以上を単球系細胞(単芽球、前単球、単球)が占め、そのなかで単芽球が80%以上を占める場合を低分化型の単球性白血病(M5a)と診断される。ちなみに顆粒球系...
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 急性単芽球性白血病 (低分化型)
白血病細胞の80%以上を単球系細胞(単芽球、前単球、単球)が占め、そのなかで単芽球が80%以上を占める場合を低分化型の単球性白血病(M5a)と診断される。ちなみに顆粒球系細胞は20%以下である。
 
 本例は、骨髄にて単芽球の数的基準をクリアーし、NaF阻害EST染色に陽性やリゾチーム活性が高値よりAML-M5aと診断された。また本型に特徴とされる11q23やMLL遺伝子異常も認められた。臨床的には歯肉出血を認めDICを併発していた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 単球性 (単球系が優位) > 低分化型 (M5a)
性別
年齢 00-04
取得年代 1995-1999
主訴 発熱、出血。
既往歴 特になし。
現病歴 発熱、出血を主訴として来院し、血液像にて異常細胞が多数出現したため当院当科に入院となった。
顔色不良、歯肉出血を認めた。
検査所見 WBC 79,800/μl(芽球75%)、RBC 228万/μl、
Hb 5.3g/dl、Ht 21.2%、 MCV 101.7fl、MCH 23.2pg、MCHC 25.0%、PLT 6.5万/μl、
NCC 35.6万/μl(芽球97%)、Fbg 119mg/dl、FDP 2,244ng/ml、D-ダイマー 32.4μg/ml、LDH 2,190IU/l、リゾチーム(s) 62.6μg/ml・(u) 26.4μg/ml
末梢血所見 白血球増加(79,800/μl )にて芽球は75%みられた。それらは大型で、好塩基性の豊富な細胞質を有し、クロマチンは粗荒で核小体は明瞭であり、アズール顆粒は認めなかった。
骨髄所見 過形成像にて芽球は94%みられ、末梢血同様に大型で、好塩基性の豊富な細胞質を有し、クロマチンは粗荒で明瞭な核小体を認めたがアズール顆粒は認めなかった。
細胞化学所見 芽球はPO染色に陰性で、EST染色では98%が強陽性でそれらはNaFに阻害された。
形態診断 末梢血・骨髄の光顕的所見にて単球系が疑われ、それらは80%以上で、なかでも単芽球が80%以上より低分化型の単球性白血病を考えた。また、NaF阻害EST陽性はそれを支持するものとなった。
免疫学的所見 CD13(39.4%)、CD33(88.2%)、CD11b(34.5%)、
CD11c(90.3%)、CD14(93.2%)、CD34(2.8%)、MPO(1.2%)
分子生物学的所見 46,XX,t(11;17)(p22;q23)[15]
MLL遺伝子(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見より低分化型の単球性白血病を疑い、表現型やリゾチーム活性が高値よりAML-M5aと診断された。臨床的にはDIC所見もみられた。
また本型に特徴とされる11q23やMLL遺伝子異常が認められた。