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 不応性貧血(RA)の末梢血、骨髄の形態所見を以下に述べる。
1)末梢血:①正球性~大球性貧血で、②芽球は無しか僅か(1%未満)、③大小 不同や奇形赤血球がみられる。
2)骨髄像:①芽球は5%以下、②赤芽球系...
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 不応性貧血(RA)の末梢血、骨髄の形態所見を以下に述べる。
1)末梢血:①正球性~大球性貧血で、②芽球は無しか僅か(1%未満)、③大小 不同や奇形赤血球がみられる。
2)骨髄像:①芽球は5%以下、②赤芽球系にのみ異形成、③環状赤芽球は全赤芽球中の15%以下がみられる。
     
 本例は、正球性正色素性貧血にて赤血球形態に特に異常は見当たらず、芽球もみられなかった。骨髄は芽球が5%、赤芽球系に若干の形態異常、顆粒球系にも形態異常がみられたが10%以下のことよりMDSの不応性貧血(RA)を疑った。芽球は5%前後であったが、それらには大型でN/C比は高く、明瞭な核小体を有し、異型性atypiaの所見がうかがえた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 骨髄異形成症候群 (MDS) > 不応性貧血 (RA)
性別
年齢 10-14
取得年代 2000-2004
主訴 全身倦怠感、微熱、貧血。
既往歴 特になし。
現病歴 3ヶ月前より、全身倦怠感、微熱が出現し近医を受診し汎血球減少症と診断された。精査のため当科を紹介入院となった。顔色不良、眼瞼結膜に軽度の貧血を認めた。
リンパ節腫脹(-)、肝脾腫(-)。
検査所見 WBC 3,800/μl (St-Seg60, Ly36, Mo2, Eo2%)
RBC 356万/μl、Hb 10.6g/dl、Ht 32.0%、PLT 6.4万/μl
MCV 89.8fl、MCH 29.7pg、MCHC 33.1%、
NCC 14.6万/μl、MgK 37.5/μl (芽球5%)
TP 6.8g/dl、LD 803IU/l、CRP 0.8mg/dl、リゾチーム(s) 28μg/dl
末梢血所見 白血球減少(3,800/μl)にて芽球は認めず、好中球の減少(2,280/μl)がみられた。
正球性正色素性貧血にて赤血球形態に特に異常は見当たらなかった。
骨髄所見 ほぼ正形成にて芽球は5%前後で、それらには大型でN/C比は高く、明瞭な核小体を有し、異型性atypiaの所見をうかがえるものもみられた。形態異常として、赤芽球には2核や核形不整また狭小化がみられた。顆粒球系には一部に輪状核や低顆粒のものがみられた。
細胞化学所見 芽球はPO染色に陽性のものや陰性のものがみられた。赤芽球はPAS染色に陰性で、Fe染色では環状鉄芽球は認めなかった。
形態診断 末梢血では白血球減少と好中球減少がみられ、骨髄では芽球が5%みられ、それらには異型性を認めた。異形成は軽度であるが赤芽球を主に顆粒球系にみられた。従って、貧血症というよりもMDS-RAを疑った。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 42,XX,-3,add(5)(q11),del(7)(p15),-12,-17,-18,-20,+mar [2]
41,XX,-1,add(5)(q11),del(7)(p15),-12,-17,-18,-20 [1]
42,XX,,add(5)(q11),del(7)(p15),-12,-17,-18,-20,+mar [1]
43,XX,,add(3)(q11),add(4)(p21),add(5)(q11),-7,add(8)(q11), - 12,add(12)(p11),add(17)(p11),-20 [2]
46,XX [14]
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 赤芽球系と顆粒球系の形態異常を主に、骨髄の芽球が5%であったことよりMDSの不応性貧血(RA)と診断された。染色体では複雑は核型異常がみられた。