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 本型は赤芽球系前駆細胞が増殖する病型でM6bとして分類される。
形態像は私見から一般に大型で、細胞質の好塩基性は強く、突起や空胞がみられ、核形不整や核小体が顕著なことが多い。ただ背景に成熟赤芽球の混...
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 本型は赤芽球系前駆細胞が増殖する病型でM6bとして分類される。
形態像は私見から一般に大型で、細胞質の好塩基性は強く、突起や空胞がみられ、核形不整や核小体が顕著なことが多い。ただ背景に成熟赤芽球の混在を捉えれば意外と診断に結びつく可能性がある。
また細胞化学染色では、PAS染色に陽性の場合は顆粒状の陽性がみられる。ACP染色ではゴルジ野あたりに凝集塊状の陽性を呈する。 
     
 本例は骨髄に未熟~幼若赤芽球の単一性や多核のものがみられたことより純粋な赤芽球系の腫瘍を考えた。しかし、周囲には巨核球系の裸核を考慮すると血小板系の腫瘍(M7)は否定する必要があった。数少ない情報から
赤芽球に特異的とされるグルコホリンAが陽性よりAML-M6bと診断された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 赤白血病 (M6)
性別
年齢 05-09
取得年代 2000-2004
主訴 倦怠感、貧血。
既往歴 特になし。
現病歴 倦怠感を訴え近医にて貧血を指摘され、血液像にて芽球様が5%みられたため当院を紹介された。精査のため当科へ入院となった。
検査所見 WBC 11,200/μl (芽球様5%)
RBC 201万/μl、Hb 5.7dl、Ht 14.9%、PLT 21.6万/μl
MCV 74.1fl、MCH 28.3pg、MCHC 38.2%
NCC 36.2万/μl、MgK 31.25/μl (芽球3%, Ebl82%)
Fe 80μg/dl、TIBC 214μg/dl
末梢血所見 白血球増加(11,200/μl)にて芽球様は5%みられた。貧血については小球性高色素性貧血であった。
骨髄所見 やや過形成にて赤芽球様の著増(82%)がみられ、骨髄芽球は5%前後であった。赤芽球様の大半が大型で、好塩基性が強く分化傾向は乏しいものであった。
なかには2核〜3核のものがみられ、周囲には巨核球の裸核もみられた。
細胞化学所見 赤芽球系にはPAS染色は陰性で、幼若型が多いこともあり環状鉄芽球はみられなかった。ACP染色ではゴルジ野あたりに凝集状の限局陽性がみられた。
形態診断 末梢血の芽球様は骨髄で増加する赤芽球に類似するものであり未熟~幼若赤芽球と同定した。
骨髄での未熟赤芽球には多核のものもみられ、単一性を考慮するとMDSというより純粋な赤芽球系の腫瘍と考えた。しかし、周囲には巨核球系の裸核を考慮すると血小板系の腫瘍(M7)は否定する必要があった。
免疫学的所見 GP-A(52.6%)、CD41(2.6%)、HLA-DR(10.3%)
分子生物学的所見 未詳。
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 骨髄にて幼若から未熟赤芽球の増加とグリコホリンAが陽性よりpure erythroid malignancy(AML-M6b)と診断された。