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 本例は形態像と表現型よりB-cellの性格であったことよりヘアリー細胞白血病と診断されたものである。
また本例は臨床検査技師からの報告が引き金となり、1987年松尾ら(久留米大学免疫学教室)によて、腫瘍細...
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 本例は形態像と表現型よりB-cellの性格であったことよりヘアリー細胞白血病と診断されたものである。
また本例は臨床検査技師からの報告が引き金となり、1987年松尾ら(久留米大学免疫学教室)によて、腫瘍細胞由来のB-HCL培養株『Hair-M』が樹立されたものである。
この培養細胞はsIg(k)のB細胞としての性格を強く表現しながらも、同時に骨髄、単球系抗原を表現しておりimmunobeads(抗IgG)に対して旺盛な貪食能も示していた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > B細胞白血病 > ヘアリー細胞白血病 (HCL)
性別
年齢 70-74
取得年代 1985-1989
症例の種類 典型例
主訴 腹部膨満感、白血球増加
既往歴 特になし
現病歴 脾腫、感染症
検査所見 RBC 401万/μl、Hb 13.5g/dl、Ht 34.2%、MCV 85.2fl、MCH 33.7pg、MCHC 39.4%、PLT 12.2万/μl
WBC 34,800/μl、NCC 15.3万/μl
末梢血所見 白血球増加(34,800/μl)にてリンパ球は88%を占めていた。それらは12μm大の小型でN/C比は高く、クロマチンは粗鋼で、細胞質に突起を有するものが散見された。その突起物は位相差顕微鏡下で観察すると毛髪状の突起(hairly appearance)としてみられた。
骨髄所見 正形成像でリンパ球が62%みられた。形態は末梢血に比べ毛髪状の確認が乏しかったがよく観察すると全体的にその出現をみた。
細胞化学所見 【末梢血のリンパ球.1986】
PO染色に陰性、PAS染色に陰性、ACP染色に陽性(L型酒石酸に感受性)、α-NA-EST染色に
陽性、α-NB-EST染色に弱陽性であった。
【培養細胞】[松尾らによって培養株(Hair-M)が樹立されたもの.1987]
PO染色に陰性と一部陽性、PAS染色に一部陽性、ACP染色に陽性(L型酒石酸に感受性)、
α-NA-EST染色に陽性、α-NB-EST染色に弱陽性であった。
形態診断 末梢血、骨髄ともに増加するリンパ球の形態は毛髪状でありヘアリー細胞白血病(hairly cell leukemia)を
疑った。
免疫学的所見 【末梢血】CD19, CD20, CD25, CD11c, FMC7, HLA-DR, sIg(k)が陽性であった。
【培養細胞】CD13, CD14, CD20, CD22, CD11c, FMC7, HLA-DR, sIg(k)が陽性であった
分子生物学的所見 46,XY
リンパ節所見 N.D
臨床診断 形態像と表現型よりB-cellの性格であることからヘアリー細胞白血病が疑われた。
本細胞は松尾ら(1987)によって腫瘍細胞由来のB-HCL培養株(Hair-M)が樹立された。この培養細胞はsIg(k)のB細胞としての性格を強く表現しながらも、同時に骨髄・単球系抗原を表現しており
immunobeads(抗IgG)に対して旺盛な貪食能を示した。