■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 本例は末梢血のリンパ球数の増加(24,336/μl)はCLLの基準を満たし、前リンパ球の混在(35%)については55%以下(11~55%)であったことより従来のCLL/PLの混在を考えた。表現型はB-CLLを示唆するものであった。核...
(続きを読む)
 本例は末梢血のリンパ球数の増加(24,336/μl)はCLLの基準を満たし、前リンパ球の混在(35%)については55%以下(11~55%)であったことより従来のCLL/PLの混在を考えた。表現型はB-CLLを示唆するものであった。核は大型でクロマチンはやや繊細で核形不整を認めたことで
2008年版WHO分類で記載された異型性(atypical)CLLの範疇を考えた。それらはtrisomy12を持つ症例が多いとされているが、本例は3,7,18番trisomyと12番の転座が認められた。
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > B細胞白血病 > B細胞性慢性リンパ性白血病 (B-CLL...
性別
年齢 60-64
取得年代 2005-2009
症例の種類 非典型例
主訴 発熱、全身倦怠感
既往歴 特になし
現病歴 発熱、リンパ節腫脹、脾腫(軽度)
検査所見 RBC 401万/μl、Hb 11.2g/dl、Ht 35.8%、MCV 89.3fl、MCH 27.9pg、MCHC 31.3%、
PLT 12.3万/μl、WBC 31,200/μl (Ly78.0%、St-Seg16.0%、Mo6.0%)、
NCC 14.6万/μl、TP 7.0g/dl、LD 315U/l、UN 18mg/dl、UA 4.0mg/dl、CRP 0.2mg/dl
末梢血所見 白血球増加(31,200/μl)にてリンパ球が78%(24,336/μl)と増加していた。
リンパ球には大小が混在し、大型はN/C比がやや高く、核は円形〜類円形、核クロマチンは粗荒で、核小体を有するものがみられた。それらは35%みられ前リンパ球を思わせるものであった。
骨髄所見 正形成像でリンパ球が61%と増加し、末梢血同様に大小のリンパ球が混在し、なかには明瞭な核小体を有するものがみられた。
細胞化学所見 リンパ球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
形態診断 高齢で、白血球の増加はリンパ球優位(24,336/μl)であることより慢性リンパ性白血病(CLL)を考え、NCI-CLLの判定基準(5000/μl以上)を満たすことよりCLLを疑った。
しかし、核小体を有するリンパ球については前リンパ球(PL)を疑い、それが55%以下より、CLLにPLが混在したものを考えた。
免疫学的所見 CD5,CD19,CD20,CD21,CD22,CD38,IgL,HLA-DR (+)
FMC-7(士)
分子生物学的所見 49,XY,t(12;22)(p13;q11),+3,+7,+18
リンパ節所見 腫瘍細胞のび慢性増殖を認め、多くは小型リンパ球であるが、ところどころに核小体を有する細胞が目立つ。周囲に比べ明るく結節状にみえる領域(pseudofollicle)を認める。
臨床診断 末梢血のリンパ球数の増加(24,336/μl)はCLLの基準を満たし、前リンパ球の混在(35%)については55%以下であった。
表現型はB-CLLを示唆するものであった。