全登録症例数:225
全登録画像数:1755
関連サイト
[ 九州がんセンター ]
[ 国立がんセンター ]
|
前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、通常T細胞性のALLの表現型としてCD1a、2、3、4、5、7、8などがあるが、2、5、7はT細胞成熟の初期マーカーであるが、CD7陽性の場合、pro-T ALLと分類される。これにCD2... (続きを読む)
前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、通常T細胞性のALLの表現型としてCD1a、2、3、4、5、7、8などがあるが、2、5、7はT細胞成熟の初期マーカーであるが、CD7陽性の場合、pro-T ALLと分類される。これにCD2、5、8が発現するとpreT ALL、CD1aが発現するとthymic-T ALL、そしてCD3が発現するとmature-T ALLとよばれる。また大部分の症例にHLA-DRが陰性も特徴である。本型の形態学的特徴として、私見ではあるが部分的にみられる核形不整は核縁の一部の不整(お皿の縁が欠けた感じ)が特徴と思われる。
本例は、末梢血、骨髄、リンパ節に増加、増殖するリンパ芽球は免疫学的所見より未熟なTcellの性格を有することから前駆T細胞性リンパ芽球性白血病と診断された。JALSG ALL97プロトコールで治療が開始され、約1ヶ月後地固め療法に入り経過観察中、約5ヶ月後再発した。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性リンパ性白血病 (ALL)
> L2;大細胞性、不均一性、N/C比低い
|
性別 |
男
|
年齢 |
70-74
|
取得年代 |
2000-2004
|
主訴 |
リンパ節腫脹。
|
既往歴 |
特になし。
|
現病歴 |
リンパ節腫脹 (左頸部、腋窩、鎖骨上窩、右気管支前方、右は肺門、鼠径部)、脾腫を認める。
|
検査所見 |
WBC 29,670/μl (芽球84, St-Seg5, Ly11%)
RBC 467万/μl、Hb 15.5g/dl、Ht 47.6%、PLT 16.7万/μl、
MCV 101.9fl、MCH 33.1pg、MCHC 32.5%、NCC 37.0万/μl、MgK 45/μl (芽球91.6%)、LD 474IU/l、CRP 0.52mg/dl、TP 8.0g/dl、BUN 20.0mg/dl、Ca 9.3mg/dl、AST 22IU/l、ALT 13IU/l、Fbg 269mg/dl
|
末梢血所見 |
白血球増加(29,670/μl)にて芽球は84%みられ、N/C比は高く核形不整がみられた。
|
骨髄所見 |
過形成像にて芽球は91.6%みられ、全般にN/C比は高く、クロマチンは粗荒で、核形不整や核小体をもつものがみられた。
|
細胞化学所見 |
芽球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
|
形態診断 |
末梢血、骨髄に優位の芽球は、クロマチンは粗荒で核形不整や核小体を有し、PO染色が陰性よりリンパ系を疑った。
|
免疫学的所見 |
CD3,CD5,CD7,CD33,CD34,TdT(+)
HLA-DR(-)
|
分子生物学的所見 |
①46,XY,del(6),(q21q25),add(11)(q13)‥4/20
②46,XY,add(1)(p36),del(6)(q21q25),add(11)(q13) ‥2/20
③46,XY‥14/20
|
リンパ節所見 |
リンパ芽球のび慢性増殖がみられ分裂像が旺盛であった。腫瘍細胞は円形から類円形で一部に核形不整がみられ、核小体もみられた。
免疫染色でTdT陽性を認めた。
|
臨床診断 |
末梢血、骨髄、リンパ節に増加、増殖するリンパ芽球は免疫学的所見より未熟なTcellの性格を有することから前駆T細胞性リンパ芽球性白血病と診断された。
JALSG ALL97プロトコールで治療が開始され、約1ヶ月後地固め療法に入り経過観察中、約5ヶ月後再発した。
|

|