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 前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、通常T細胞性のALLの表現型としてCD1a、2、3、4、5、7、8などがあるが、2、5、7はT細胞成熟の初期マーカーであるが、CD7陽性の場合、pro-T ALLと分類される。これにCD2...
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 前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、通常T細胞性のALLの表現型としてCD1a、2、3、4、5、7、8などがあるが、2、5、7はT細胞成熟の初期マーカーであるが、CD7陽性の場合、pro-T ALLと分類される。これにCD2、5、8が発現するとpreT ALL、CD1aが発現するとthymic-T ALL、そしてCD3が発現するとmature-T ALLとよばれる。また大部分の症例にHLA-DRが陰性も特徴である。本型の形態学的特徴として、私見ではあるが部分的にみられる核形不整は核縁の一部の不整(お皿の縁が欠けた感じ)が特徴と思われる。
     
 本例は、末梢血、骨髄、リンパ節に増加、増殖するリンパ芽球は免疫学的所見より未熟なTcellの性格を有することから前駆T細胞性リンパ芽球性白血病と診断された。JALSG ALL97プロトコールで治療が開始され、約1ヶ月後地固め療法に入り経過観察中、約5ヶ月後再発した。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性リンパ性白血病 (ALL) > L2;大細胞性、不均一性、N/C比低い
性別
年齢 70-74
取得年代 2000-2004
主訴 リンパ節腫脹。
既往歴 特になし。
現病歴 リンパ節腫脹 (左頸部、腋窩、鎖骨上窩、右気管支前方、右は肺門、鼠径部)、脾腫を認める。
検査所見 WBC 29,670/μl (芽球84, St-Seg5, Ly11%)
RBC 467万/μl、Hb 15.5g/dl、Ht 47.6%、PLT 16.7万/μl、
MCV 101.9fl、MCH 33.1pg、MCHC 32.5%、NCC 37.0万/μl、MgK 45/μl (芽球91.6%)、LD 474IU/l、CRP 0.52mg/dl、TP 8.0g/dl、BUN 20.0mg/dl、Ca 9.3mg/dl、AST 22IU/l、ALT 13IU/l、Fbg 269mg/dl
末梢血所見 白血球増加(29,670/μl)にて芽球は84%みられ、N/C比は高く核形不整がみられた。
骨髄所見 過形成像にて芽球は91.6%みられ、全般にN/C比は高く、クロマチンは粗荒で、核形不整や核小体をもつものがみられた。
細胞化学所見 芽球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
形態診断 末梢血、骨髄に優位の芽球は、クロマチンは粗荒で核形不整や核小体を有し、PO染色が陰性よりリンパ系を疑った。
免疫学的所見 CD3,CD5,CD7,CD33,CD34,TdT(+)
HLA-DR(-)
分子生物学的所見 ①46,XY,del(6),(q21q25),add(11)(q13)‥4/20
②46,XY,add(1)(p36),del(6)(q21q25),add(11)(q13) ‥2/20
③46,XY‥14/20
リンパ節所見 リンパ芽球のび慢性増殖がみられ分裂像が旺盛であった。腫瘍細胞は円形から類円形で一部に核形不整がみられ、核小体もみられた。
免疫染色でTdT陽性を認めた。
臨床診断 末梢血、骨髄、リンパ節に増加、増殖するリンパ芽球は免疫学的所見より未熟なTcellの性格を有することから前駆T細胞性リンパ芽球性白血病と診断された。
JALSG ALL97プロトコールで治療が開始され、約1ヶ月後地固め療法に入り経過観察中、約5ヶ月後再発した。