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前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)はリンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)と共にT細胞系にコミットされた未熟なリンパ芽球の腫瘍である。
T-ALLの腫瘍細胞は末梢血、骨髄を占め、T-LBLではリンパ節もしくはリンパ... (続きを読む)
前駆T細胞性リンパ芽球性白血病(T-ALL)はリンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)と共にT細胞系にコミットされた未熟なリンパ芽球の腫瘍である。
T-ALLの腫瘍細胞は末梢血、骨髄を占め、T-LBLではリンパ節もしくはリンパ節外に腫瘤を形成する。腫瘍性病変があり、骨髄での腫瘍細胞の浸潤が25%以下の場合は随意的であるがLBLされる。T-ALLは全体の25%を占め、小児ALLの約15%、成人ALLの25%を占めるとされる。
本例は、芽球が骨髄から末梢血にもみられ白血化の状態であった。
芽球の光顕的所見では、PAS染色の粗大顆粒状~点状の陽性(40%)が唯一リンパ球系を示唆するものであった。
表面形質はTcellの性格であり、TCRδ遺伝子を認めたことより、T前駆細胞リンパ芽球性白血病と診断された。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性リンパ性白血病 (ALL)
> L1;小細胞性、均一性、N/C比高い
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性別 |
男
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年齢 |
05-09
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
白血球増加、リンパ節腫大。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
リンパ節腫大、縦隔腫瑠、肝腫(6cm)、脾腫(5cm)
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検査所見 |
WBC 35,800/μl、RBC 374万/μl、Hb 10.1g/dl、Ht 29.6%、
MCV 79.1fl、MCH 27.0pg、MCHC 34.1%、PLT 0.7万/μl、
NCC 74.3万/μl、Mgk 0/μl、
LD 3,035IU/l、IgG 770mg/dl、IgA 65mg/dl、IgM 108mg/dl
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末梢血所見 |
白血球増加(35,800/μl)の血液像にて芽球は60%みられた。
N/C比が高く一部に核形不整を認める。
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骨髄所見 |
過形成像の骨髄で芽球は90%、全般に小型でN/C比は高く、クロマチンは繊細から粗荒である。
形態学的にはリンパ球系が示唆された。
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細胞化学所見 |
芽球はPO染色に陰性、PAS染色に粗大顆粒状の陽性が8%、点状の陽性が40%(強陽性)であった。N-EST染色は陰性であった。
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形態診断 |
骨髄の芽球は90%、全般に小型でN/C比が高く、クロマチンは粗荒、PO染色が陰性、PAS染色で48%が強陽性であったことより急性リンパ性白血病(ALL)を疑った。
本例のようなPAS染色の陽性態度はリンパ球系を強く支持するものである。
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免疫学的所見 |
骨髄:TdT、CD3、CD7、CD8 (+) HLA-DR (-)
リンパ節:TdT、CD3、CD4、CD8 (+)
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分子生物学的所見 |
骨髄の染色体検査では、
46,XY,t(11;14)(p13;q11)の核型異常を認めた。
骨髄の遺伝子検査では、 TCRδ遺伝子(RBTN2/TCRδ)を認めた。
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リンパ節所見 |
左頚部リンパ節捺印標本にて、腫瘍細胞は単一に増殖し、核は円形から類円形で、核小体や核形不整を一部に認めた。
形態、表現型からTcellを示唆するものであった。
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臨床診断 |
芽球は骨髄から末梢血にもみられ白血化の状態であった。
芽球の光顕的所見からPAS染色の粗大顆粒状~点状の陽性(40%)が唯一リンパ球系を示唆するものであった。
表面形質はTcellの性格であり、TCRδ遺伝子を認めたことより、T前駆細胞リンパ芽球性白血病と診断された。
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