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本例は、白血球の著増に伴う顆粒球系細胞の増殖と形態異常がポイントとなった。それらの形態所見は、CMLやCMMoLとの鑑別に有用であり、BCR-ABL融合遺伝子を証明できなかったことよりBCR-ABL陰性の非定型性慢性... (続きを読む)
本例は、白血球の著増に伴う顆粒球系細胞の増殖と形態異常がポイントとなった。それらの形態所見は、CMLやCMMoLとの鑑別に有用であり、BCR-ABL融合遺伝子を証明できなかったことよりBCR-ABL陰性の非定型性慢性骨髄性白血病(atypical CML)と診断された。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
性別 |
女
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年齢 |
60-64
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取得年代 |
2010-2014
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主訴 |
発熱、咽頭痛
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既往歴 |
51歳:胆のう摘出術
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現病歴 |
2年前より、上気道感染、尿路感染を繰り返していたが抗生剤を内服し改善していた。その後、白血球増加がみられていた(12,000~25,000/μl)。最近になって、咽頭炎にて近医受診したところ、白血球増加と芽球を認めたため当院当科を紹介受診された。咽頭発赤を認め、肝脾腫は認めない。
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検査所見 |
WBC 63,420/μl、RBC 455万/μl、Hb 13.5g/dl、Ht 39.2%、MCV 86.1fl、MCH 29.6pg、MCHC 34.4%、PLT38.5万/μl、BM-NCC54.6万/μl、TP 8.1g/dl、Alb4.3g/dl、T-bil 1.0mg/dl、AST 32IU/l、ALT 21IU/l、LD 1,280U/l、BUN 10.3mg/dl, Cre 0.8mg/dl, UA 8.0mg/dl, CRP 2.7mg/dl、TPHA(-)、HBs-Ag(-)、HCV-Ab(-)、HTLV-ⅠAb (-)、NAP:score296/rate89%
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末梢血所見 |
白血球が著増(63,420/μl)のもと、芽球(1%)を含む幼若顆粒球(11%)と単球の増加(10,147/μl)がみられた。また、赤芽球を13/100wも認め、白赤芽球症がみられた。
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骨髄所見 |
骨髄は過形成(54.6万/μl)で芽球は1%で、他に前骨髄球7%、骨髄球11%、後骨髄球5%、好中球61%、単球4%、赤芽球3%であった。増加する顆粒球系細胞に二核、低顆粒、巨大好中球、偽ペルゲル核異常の異形成がみられた。また、巨核球には単円形核の異形成がみられた。
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細胞化学所見 |
顆粒球系細胞はPO染色に陽性、クロロアセテートEST染色に陽性であった。NAP染色は正常(陽性指数296、陽性率89%)であった。
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形態診断 |
白血球の著増に伴う顆粒球系細胞の増加より骨髄増殖性腫瘍を疑った。顆粒球系細胞にのみに形態異常が強いことで非定型性慢性骨髄性白血病 (aCML)を疑ったが慢性骨髄性白血病(CML)は否定する必要がある。好塩基球の増加はなく、NAP活性が正常より一応否定したが、BCR-ABLの陰性を確認することになる。末梢血における単球の増加より慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)も除外することになる。
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免疫学的所見 |
N.D
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分子生物学的所見 |
46,XX [20]
BCR-ABL融合遺伝子(-)
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リンパ節所見 |
N.D
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臨床診断 |
白血球の著増に伴う顆粒球系細胞の増殖と形態異常がポイントとなった。それらの形態所見は、CMLやCMMoLとの鑑別に有用であり、BCR-ABL融合遺伝子を証明できなかったことよりBCR-ABL陰性の非定型性慢性骨髄性白血病(atypical CML)と診断された。
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