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 形質細胞骨髄腫は骨髄腫細胞の骨髄を中心とした単クローン性増殖と単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の血中、尿中増量を特徴とする疾患である。M蛋白の増量以外にサイトカインやケモカインにより、貧血や易...
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 形質細胞骨髄腫は骨髄腫細胞の骨髄を中心とした単クローン性増殖と単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の血中、尿中増量を特徴とする疾患である。M蛋白の増量以外にサイトカインやケモカインにより、貧血や易感染性を主とする造血障害、腎障害、溶骨性変化による疼痛などの臨床症状を呈する疾患である[Groganら.2001]。
     
 本例は、骨髄に増加する形質細胞の形態像とIgG(k)の証明より多発性骨髄腫と診断された。多発性骨髄腫(1期A)の診断後、MCNU-VMP療法が行なわれ、軽快後無治療で経過観察中にて形質細胞は増減の繰り返しであった。5年後、骨髄腫細胞が増加し、臨床的にも増悪期となった例である。
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■症例詳細データ
性別
年齢 55-59
取得年代 2000-2004
主訴 腰背部痛。
既往歴 特になし。
現病歴 骨痛、腰背部痛あり。
上腕骨単純X線にて病的骨折、頭蓋骨単純X線写真にて多数の打ち抜き状像を認める。
検査所見 WBC 3,610/μl (St-Seg50.5, Ly44.5, Mo.3.0, Eo2.0%)
RBC 357万/μl、Hb 11.7g/dl、Ht 34.0%、
MCV 95.2fl、MCH 32.7pg、MCHC 34.4%、PLT 14.6万/μl、
NCC 16.4万/μl、Mgk 45.0/μl (Ab.ly46.8%)、
LD 265IU/l、TP 9.0g/dl、CRP 0.07mg/dl、BUN 13.2mg/dl、UA 6.1mg/dl、Ca 8.8mg/dl、AST 27IU/l、IgG 3,540mg/dl(κ型)、IgA 19mg/dl、IgM 24mg/dl、M蛋白 37.4%、M蛋白量 3.3g/dl、尿中BJ-protein(0)
末梢血所見 血液像にて赤血球に連銭形成を認めるほかは異常所見はみられなかった。
骨髄所見 骨髄には形質細胞が46.8%にみられ、中型の大きさで、核小体を有することより、Greipp分類(1985)のintermediate typeと思われた。
病理学的処理によるHE染色では、核の偏在と好塩基性の細胞質に核周明庭を有する形質細胞の増生がみられた。
細胞化学所見 形質細胞はACP染色に散在性の陽性で、PO染色、PAS染色、EST染色は陰性であった。
形態診断 骨髄では形質細胞が15%以上(実際は46.8%)より骨髄腫細胞を疑った。形態学的にはintermediate type (Greipp.1985)と診断した。
免疫グロブリン定量、電気泳動より、IgG(κ)が証明された。
免疫学的所見 骨髄の形質細胞はCD38、CD79a、CD138、cIg が陽性であり、病理学的に処理した材料から免染を行なうと、免疫グロブリン軽鎖κ型に陽性であった。
分子生物学的所見 46,XY‥20/20
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 骨髄に増加する形質細胞の形態像とIgG(k)の証明より多発性骨髄腫と診断された。
多発性骨髄腫(1期A)の診断後、MCNU-VMP療法が行なわれ、
軽快後、無治療で経過観察中にて形質細胞は増減の繰り返しであった。
5年後、骨髄腫細胞が増加し、臨床的にも増悪期となった。