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 急性単芽球性白血病 (低分化型)
白血病細胞の80%以上を単球系細胞(単芽球、前単球、単球)が占め、そのなかで単芽球が80%以上を占める場合を低分化型の単球性白血病(M5a)と診断される。ちなみに顆粒球系...
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 急性単芽球性白血病 (低分化型)
白血病細胞の80%以上を単球系細胞(単芽球、前単球、単球)が占め、そのなかで単芽球が80%以上を占める場合を低分化型の単球性白血病(M5a)と診断される。ちなみに顆粒球系細胞は20%以下である。
 
 本例は、骨髄で単球系は80%以上を占め、しかも単芽球が80%以上を占めたことより低分化型の単球性白血病(AML-M5a)を疑った。また、NaF阻害EST陽性はそれを支持するものとなった。分子生物学的には11q23、MLL遺伝子が証明された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 単球性 (単球系が優位) > 低分化型 (M5a)
性別
年齢 10-14
取得年代 2000-2004
主訴 発熱、貧血、腹部膨満感。
既往歴 特になし。
現病歴 発熱、貧血、歯肉出血、軽度の肝脾腫を認める。
汎血球減少より当科入院となった。
検査所見 WBC 1,940/μl(芽球15%)
RBC 200万/μl、Hb 7.0g/dl、Ht 21.2%、MCV 106fl、
MCH 35.0pg、MCHC 33.0%、PLT 8.2万/μl
NCC 17.5万/μl、MgK 0/μl(芽球98%)
PT 42.1%、Fibg 104mg/dl、D-ダイマー 22.6μg/ml、
LDH 2,420IU/l
末梢血所見 白血球減少(1,940/μl)にて芽球が15%みられた。それらは大型で、好塩基性の豊富な細胞質を有し、核は円形から類円形、クロマチンは粗網状で、一部に軽度の核形不整がみられ顕著な核小体を認めた。アズール顆粒は認めなかった。
骨髄所見 ほぼ正形成の骨髄像にて芽球は98%みられた。それらはN/C比は低く、核形不整は軽度で、クロマチンは粗網状で核小体を認めた。細胞質は有尾状の突起を有し、アズール顆粒は認めないようであった。
細胞化学所見 芽球はPO染色に陰性で、EST(α-NB)染色にて強陽性を呈し、それらはNaFに阻害された。
形態診断 末梢血、骨髄にみられる芽球は、形態学的ならびにPO染色に陰性、またNaF阻害EST陽性より単球系を考えた。
骨髄で単球系は80%以上を占め、しかも単芽球が80%以上を占めたことより低分化型の単球性白血病(AML-M5a)を疑った。また、NaF阻害EST陽性はそれを支持するものとなった。
免疫学的所見 CD13(49.4%)、CD33(98.1%)、CD11b(28.5%)、
CD11c(96.9%)、CD14(98.2%)、TdT(92.4%)、
CD34(4.8%)、MPO(2.2%)
分子生物学的所見 46、XY,t(1;11)(p32;q23)[16]
MLL遺伝子(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見、表現型よりAML-M5aと診断された。
分子生物学的には11q23、MLL遺伝子が証明された。