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 本例は、骨髄にて全有核細胞の88%を赤芽球系細胞が占め骨髄成分はほとんど認めなかった。赤芽球系細胞は未熟型のものが80%以上を占め、多くは大型で核小体を有し、なかには二核もみられ豊富な好塩基性の細胞質...
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 本例は、骨髄にて全有核細胞の88%を赤芽球系細胞が占め骨髄成分はほとんど認めなかった。赤芽球系細胞は未熟型のものが80%以上を占め、多くは大型で核小体を有し、なかには二核もみられ豊富な好塩基性の細胞質には空胞を有するものが多くみられた。
それらは、赤芽球系のマーカーに陽性でもあり、未熟赤芽球の優位を加味しpure erythroid leukemia(AML-M6b)を疑った。染色体分析では複雑な核型異常が認められた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 赤白血病 (M6)
性別
年齢 75-79
取得年代 2005-2009
症例の種類 典型例
主訴 全身倦怠感
既往歴 特になし
現病歴 肝脾腫(+)、リンパ節腫脹(-)
検査所見 WBC2,200/μl (Blast9%,Promy 1,.St-Seg4, Ly68, Mo18, Ebl.2/100w)
RBC341万/μl、Hb10.3g/dl、Ht29.7%, PLT1.8万/μl
TP7.0g/dl、LDH3,218IU/l、ALP240IU/l、BUN10mg/dl、Cre0.6mg/dl、Ca9.3mg/dl
CRP2.0mg/dl、
NCC39.2万/μl(immature erythroblast 88%)
末梢血所見 白血球減少(2,200/μl)にて芽球様細胞は9%みられ赤芽球も散見された。
芽球様細胞は大型で核は類円形、豊富な細胞質は中等度の好塩基性を有し、PO染色に陰性であった。
骨髄所見 骨髄は過形成で、赤芽球様細胞が88%を占めていた。それらは大型で核は類円形で核小体を有し細胞質は強度の好塩基性を呈するものが多くみられ未熟な赤芽球を思わせた。
なかには二核のものがみられた。
細胞化学所見 PO染色、EST染色に陰性であった。
PAS染色にて顆粒状陽性が75%、点状・塊状陽性が20%、びまん性陽性が3%みられた。
形態診断 骨髄にて全有核細胞の88%に赤芽球系細胞が占め骨髄成分をほとんど認めなかった。
赤芽球系細胞は未熟型のものが多く、赤芽球が優位であったことよりpure erythroid leukemia
(AML-M6b)を疑った。
免疫学的所見 CD36・glycophorin A(+)
分子生物学的所見 46,XX,del(5)(q?),dic(6;11)(p11;p13),idic(8)(q21),add(21)(q22),+mar1[1]/48,s1,-10,-16,+20,
+20,+21,-add(21),-mar1,+mar2,+mar3,+mar4[3]
リンパ節所見 N.D
臨床診断 骨髄では大型で未熟な赤芽球系が80%(実際は88%)以上を示し、赤芽球系のマーカーが陽性より未熟赤芽球の増殖と考えAML-M6b(pure erythroid leukemia)と診断された。