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 本型の染色体はinv(16)(p13q22)、t(16;16)(p13;q22)の核型異常が、遺伝子ではCBFβ/MYH11遺伝子の再構成が認められる。本型はAMLの10~12%を占め、比較的若年層に多いとされる。
遺伝子異常については、16q22...
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 本型の染色体はinv(16)(p13q22)、t(16;16)(p13;q22)の核型異常が、遺伝子ではCBFβ/MYH11遺伝子の再構成が認められる。本型はAMLの10~12%を占め、比較的若年層に多いとされる。
遺伝子異常については、16q22にあるCBFβ遺伝子と16p13にあるMYH11遺伝子の再構成が起こる。CBFβ遺伝子がコードするCBFβサブユニットはAML1遺伝子がコードするCBFαサブユニットとヘテロ二量体を形成し転写の活性化や制御に関わる。
     
 本例は、末梢血では単球の増加(45,702/μl)と骨髄では芽球が20%以上(実際は50%)を占め、顆粒球系と単球系の混在と異常好酸球の増加(15%)がみられたためAML-M4 with eosinophilia(AML-M4Eo)を疑った。
α-NBE染色が陰性のためα-NBE陰性のM4と解釈した。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 骨髄単球性 (異常の好酸球を伴う:M4E...
性別
年齢 10-14
取得年代 2000-2004
主訴 下肢の紫斑。
既往歴 5歳時:鼠径ヘルニアのため手術。
現病歴 3ヶ月前、食欲不振、下肢に紫斑に気づかれていた。
軽度のめまいと咽頭痛のため近医受診し、白血球増加(12,290/μl)と血小板減少(5.2万/μl)を指摘され、血液疾患が疑われたため当科紹介入院となった。
皮膚では両下腿前面・左下腿内果に紫斑あり、口腔内に点状出血はなし、咽頭発赤なし、歯肉腫脹あり、両頚部リンパ節腫脹(3cm)を認めた。
肝腫(3cm)、脾腫(1cm)
検査所見 WBC 152,340/μl (芽球10, St-Seg6, Mo30, Ly51, Eo3%)、RBC 355万/μl、Hb 10.5g/dl、Ht 32.7%、
PT 68%、APTT 35.4sec、MCV 92.1fl、MCH 29.8pg、MCHC 32.1%、PLT 3.3万/μl、
NCC 42.3万/μl(芽球58.0%)
LD 1604IU/l、TP 7.7g/dl、CRP 0.17mg/dl、BUN 11.8mg/dl、UA 3.6mg/dl、AST 27IU/l、ALT 15IU/L
末梢血所見 白血球著増(152,340/μl)の分類にて芽球が10.0%、単球は45,702/μlと著増していた。
骨髄所見 過形成像にて芽球は50%、以降顆粒球系(15%)と単球系(16%)の混在がみられた。
背景には幼若好酸球が15%みられ、なかには好塩基性の大型顆粒を有するものもみられた。
細胞化学所見 芽球から好中球への分化に伴いPO染色は陽性で、EST染色では顆粒球系に陽性反応がみられた。
肝心の単球に対してはα-NBE染色が陰性であった。
形態診断 末梢血では単球の増加(45,702/μl)と骨髄では芽球は50%を占め、顆粒球系と単球系の混在と異常顆粒を有する好酸球の増加(15%)がみられたためAML-M4 with eosinophilia(AML-M4Eo)を疑った。
α-NBE染色が陰性のためα-NBE陰性のM4と解釈した。
免疫学的所見 CD2(68.5%)、CD13(98.3%)、CD19(0.9%)、CD33(71.9%)、CD34(99.5%)、HLA-DR(92.4%)
分子生物学的所見 ①46,XX,t(16;16)(p13;q22)[20]
②CBFβ-MYH11(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血にて単球の増加と骨髄はAMLの範疇でしかも異常好酸球の増加を考慮しAML-M4Eoと診断された。
細胞化学的にはα-NBE染色に陰性例であったが、染色体、遺伝子検査の結果はそれを支持するものであった。
入院後、大量輸血がなされ、AML99プロトコールにて治療が開始された。