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 骨髄の芽球は20%以上で、顆粒球系や単球系、またそれらの前駆細胞が骨髄有核細胞(ANC)の20%以上を占める。末梢血では単球が5000/μl以上を示す病型である。
     
 本例は、末梢血にて単球が5,000/μ以上(実際...
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 骨髄の芽球は20%以上で、顆粒球系や単球系、またそれらの前駆細胞が骨髄有核細胞(ANC)の20%以上を占める。末梢血では単球が5000/μl以上を示す病型である。
     
 本例は、末梢血にて単球が5,000/μ以上(実際は45,745/μl)と著増であり、骨髄で芽球が20%以上(実際は33%)、顆粒球系と単球系が各々20%以上(実際は35%、27%)よりAML-M4を疑った。典型例かと思われたが、ブチレートEST染色が単球系に陰性よりブチレート陰性のM4を考えた。M4を補足するにはPO染色の染色性を重要視して、陽性は顆粒球系を陰性から弱陽性を単球系に判定するポイントが有効になる。ブチレート陰性のはM4は10~20%にみられるといわれる。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 骨髄単球性 (骨髄系と単球系の混在:M4...
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
主訴 発熱、白血球増加。
既往歴 特になし。
現病歴 発熱、白血球増加にて芽球がみられたため、精査のため入院となった。
出血傾向(+)、肝脾腫(+)、リンパ節腫脹(+)。
検査所見 WBC 130,700/μl (芽球10%)
RBC 251万/μl、Hb 7.6g/dl、Ht 24.5%、PLT 5.6万/μl
MCV 97.6fl、MCH 30.2pg、MCHC 31.0%、
NCC 28.7万/μl、MgK 25.0/μl (芽球33%)、
LD 1,051IU/l、FDP 9.2ng/ml、リゾチーム(s) 43μg/ml、
リゾチーム(u) 12μg/ml
末梢血所見 白血球著増(130,700/μl)にて芽球は10%で、単球が35%(45,745/μ)と増加がみられた。単球については分化傾向がうかがえた。
骨髄所見 正形成像にて芽球は33%、以降顆粒球系35%、単球系27%で両者の混在がみられた。
細胞化学所見 PO染色にて芽球および顆粒球系は陽性で、単球系は陰性が多く一部に弱陽性がみられた。
ブチレートEST染色は単球系に陰性であった。
形態診断 末梢血にて単球が5,000/μ以上(実際は45,745/μl)と骨髄で芽球が20%以上(実際は33%)、顆粒球系と単球系20%以上(実際は35%、27%)よりAML-M4を疑った。M4に必須のブチレートEST染色が陰性のことより、ブチレート陰性例として捉えた。PO染色にて顆粒球系は陽性で、単球系は陰性・弱陽性に分かれることが診断を支持するものになる。
免疫学的所見 CD11b・CD14・CD13・CD33・HLA-DR(+)
分子生物学的所見 不詳。
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血の単球数、骨髄の芽球の割合と顆粒球系と単球系の混在、またリゾチームの上昇よりAML-M4と診断された。
表現型でも単球系を示唆するCD11b、CD14が陽性であった。
本例はブチレートEST染色に陰性例として捉えられた。