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 バーキット白血病は、分子生物学的にはc-myc遺伝子(8q24)と免疫グロブリン遺伝子の相互転座に起因する高悪性度B細胞性腫瘍である。
欧米、本邦とも悪性リンパ腫の1~2%とされ小児と若年成人(30~45歳)に...
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 バーキット白血病は、分子生物学的にはc-myc遺伝子(8q24)と免疫グロブリン遺伝子の相互転座に起因する高悪性度B細胞性腫瘍である。
欧米、本邦とも悪性リンパ腫の1~2%とされ小児と若年成人(30~45歳)に多い。浸潤部位は腹部腫瘍が多く、回盲部と卵巣、腹膜、後腹膜リンパ節から発生する。腫瘍は短期間で大きくなり、腹部腫瘍による腹部膨満、鼻咽頭では気道狭窄などの症状を示すことがある。大きな腫瘤や白血化例では高LDH血症を示す。骨髄や中枢神経に浸潤しやすく、若年女性では乳腺に浸潤や原発することがある。
     
 本例は、光顕的や表現型よりB細胞系のALLを疑い、表面形質ならびに染色体検査よりBurkitt型を考えた。腫瘍細胞は骨髄に浸潤し末梢血へ白血化を起こしていることよりBurkitt leukemia、FAB分類のL3と診断された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性リンパ性白血病 (ALL) > L3;Burkitt型、大細胞性、顕著な...
性別
年齢 65-69
取得年代 2000-2004
主訴 倦怠感、白血球増加。
既往歴 特になし。
現病歴 肝脾腫、リンパ節腫大あり。
検査所見 WBC 90,170/μl (芽球88.0, Seg2.0, Ly8.0, Mo.2.0%)
RBC 362万/μl、Hb 11.1g/dl、Ht 30.8%、
MCV 85.0fl、MCH 30.7pg、MCHC 36.0%、PLT3.0万/μl、
NCC 9.5万/μl、Mgk 0/μl (芽球100%)、
LD 7,011IU/l、TP 6.2g/dl、CRP 4.11mg/dl、BUN 129.4mg/dl、UA 13.5mg/dl、Ca 10.0mg/dl、AST 136IU/l、ALT 34IU/L、
Fbg 426mg/di
末梢血所見 白血球著増(90,170/μl)にて芽球は88%みられ、好塩基性の細胞質に空胞を有するものがみられた。
骨髄所見 小型~中型のN/C比が高い芽球が優位であった。
細胞質に乏しく全般に小さい空胞がみられる。
やや核形不整とクロマチンの粗荒よりリンパ系を考えた。
細胞化学所見 芽球はPO染色、PAS染色に陰性(極一部に細顆粒状の陽性)であった。
形態診断 骨髄の芽球はALLでFAB分類ではL2様を思わせるものであった。ただ空胞の出現は旺盛であるが、脂肪空胞が特徴的なL3に比べると、空胞は小さくも思えた。光顕的にはリンパ系を疑いつつも表現型の結果待ちとなった。
免疫学的所見 CD10、CD19、CD20、HLA-DR、sIgM (+)
分子生物学的所見 ①46,XY‥6/20
②46,XY, t(8;14)(q24;q34)‥14/20
③MYC/IgH (+)
リンパ節所見 【頚部リンパ節生検MG染色】
中型リンパ球の増生は好塩基性の細胞質に小さい空胞を有するものであり、免染ではB cellの性格であった。
【HE染色】
円形核のリンパ球様細胞が腫瘍性に増殖し、それらを背景に核遺残物などを貪食する組織球が夜空に輝く星を連想させる(starry sky appearance)像がみられた。
臨床診断 光顕的や表現型よりB細胞系のALLを疑い、白血化の状態であり表面形質ならびに染色体検査よりBurkitt leukemiaと診断された。JALSGのB-ALL97に登録され、入院2ヶ月後血液学的にはCRとなった。約1年後、再発し再びJALSGのB-ALL97、High dose Ara-Cの治療が開始された。