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 本例は、骨髄で赤芽球が48%みられたことで芽球はANC中の算定となり17%であった。背景には巨核球や環状鉄芽球の形態異常を認めた。
以上よりMDSのRAEB-2の範疇であったが、染色体検査にてt(3;3)(q21;q26.2)の核...
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 本例は、骨髄で赤芽球が48%みられたことで芽球はANC中の算定となり17%であった。背景には巨核球や環状鉄芽球の形態異常を認めた。
以上よりMDSのRAEB-2の範疇であったが、染色体検査にてt(3;3)(q21;q26.2)の核型異常とRPN1-EVI1遺伝子が証明されたことより、芽球は20%以下であるが、染色体、遺伝子異常が優先されるため特異的染色体異常を伴うAML(WHO.2008)として診断された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 骨髄異形成症候群 (MDS) > 芽球の増加を伴う不応性貧血
性別
年齢 50-54
取得年代 2005-2009
症例の種類 典型例
主訴 全身倦怠感、感冒症状
既往歴 特になし
現病歴 微熱、眼瞼結膜(貧血)
検査所見 WBC3,800/μl (Blast4%,My1,.Met1,Seg32, Ly54, Mo9, Ebl.4/100w)
RBC180万/μl、Hb7.2g/dl、Ht20.8%, PLT52.4万/μl, MCV115.5fl,MCHC34.6%
TP7.8g/dl、LDH197IU/l、UA3..9mg/dl、Fe96μg/dl,TIBC239μg/ml, T-bil 0.4mg/dl
Ferritin441ng/ml, CRP0.1mg/dl
NCC41.5万/μl
末梢血所見 白血球減少にて芽球が4%みられ、低顆粒、偽ペルゲル核異常の好中球や赤芽球の出現も認める。貧血もあり、涙滴赤血球やパッペンハイマー小体を認める。血小板は増加(52.4万/μl)であり巨大血小板を認める。
骨髄所見 過形成像で赤芽球が48%みられたことで芽球はANC中の17%であった。増加する赤芽球には巨赤芽球様変化が顕著で、また微小巨核球や単円形核の巨核球を認めた。巨核球のアズール顆粒は豊富にみられた。
細胞化学所見 PO染色に芽球は陽性、Fe染色に赤芽球は環状赤芽球が確認された。
形態診断 芽球は末梢血に4%、骨髄で17%みられ、しかも形態異常や環状鉄芽球を認めたことでRAEBⅡを疑った。しかし、赤芽球が50%前後のことよりAMLの境界でもあり、AML with MDS-related changeも考えられる。血小板増加については染色体異常の結果を待つことになる。
免疫学的所見 CD7+,CD13+,CD33+,CD41+,CD42+,CD61+
分子生物学的所見 46,XY,t(3;3)(q21;q26.2) [19]
RPN1-EVI1遺伝子(+)
リンパ節所見 N.D
臨床診断 骨髄の芽球は17%であり顕著な形態異常や環状鉄芽球を認めたことでMDS-RAEB2を考えた。しかし、染色体検査にてt(3;3)(q21;q26.2)の核型異常とRPN1-EVI1遺伝子が証明されたことより、特異的染色体異常を伴うAMLの範疇として診断された。