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 本例は、形態学的にはL3様の芽球を考えたが、PAS染色が陽性であったこと、表面マーカーではCD34、CD19のみが陽性で表面免疫グロブリン(sIg)が陰性であったこと、臨床的に腹部腫瑠、リンパ節腫脹などを認めなか...
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 本例は、形態学的にはL3様の芽球を考えたが、PAS染色が陽性であったこと、表面マーカーではCD34、CD19のみが陽性で表面免疫グロブリン(sIg)が陰性であったこと、臨床的に腹部腫瑠、リンパ節腫脹などを認めなかったこと、また染色体でt(8;14)を認めなかったことよりEarly B-ALLと診断された。経験的であるが、L3でPAS染色の陽性例は1例のみで、それも顆粒状の陽性であり、本例のような点状の陽性ではなかった。
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■症例詳細データ
性別
年齢 10-14
取得年代 2005-2009
主訴 貧血、白血球減少
既往歴 特になし
現病歴 肝腫(+)、脾腫(+)、リンパ節腫脹(-)
検査所見 WBC1,200/μl (Blast16%)、RBC386万/μl、Hb 10.9g/dl、Ht 37.1%、MCV96.1fl、MCH28.2pg、MCHC29.3%、PLT19.8万/μl、NCC43.2万/μl (Blast 86%)
末梢血所見 白血球減少のもと芽球様細胞が16%みられた。それらは大型でN-C比は高く空胞を有していた。PO染色は陰性よりリンパ系を疑った。
骨髄所見 骨髄は過形成で芽球様細胞が86%みられた。それらは大型で、N-C比は高く、好塩基性の細胞質には顕著な空胞を有していた。
細胞化学所見 芽球様細胞はPO染色、EST染色に陰性、PAS染色に小さい点状の陽性のものが26%みられた。ACP染色は細胞質に散在性の陽性がみられた。
形態診断 末梢血・骨髄系細胞にみられた芽球様細胞は一見ALL-L3様であったが、PAS染色に点状陽性であったことが合致しなかった。L3では通常PAS反応は陰性である。PO反応が陰性のことよりリンパ系を疑いALLを疑った。
免疫学的所見 CD34・CD19(+)、HLA-DR (-)
分子生物学的所見 46,XY
リンパ節所見 N.D
臨床診断 形態学的にはL3様の芽球を考えたが、表面マーカーではCD34、CD19のみが陽性で表面免疫グロブリン(sIg)が陰性であったこと、臨床的に腹部腫瑠、リンパ節腫脹などを認めなかったこと、また染色体でt(8;14)を認めなかったことよりEarly B-ALLと診断された。