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急性単芽球性白血病 (低分化型)
白血病細胞の80%以上を単球系細胞(単芽球、前単球、単球)が占め、そのなかで単芽球が80%以上を占める場合を低分化型の単球性白血病(M5a)と診断される。ちなみに顆粒球系... (続きを読む)
急性単芽球性白血病 (低分化型)
白血病細胞の80%以上を単球系細胞(単芽球、前単球、単球)が占め、そのなかで単芽球が80%以上を占める場合を低分化型の単球性白血病(M5a)と診断される。ちなみに顆粒球系細胞は20%以下である。
本例は、末梢血・骨髄の光顕的所見にて単球系が疑われ、それらは骨髄で80%以上、なかでも単芽球が80%以上より低分化型の単球性白血病を考えた。また、NaF阻害EST陽性はそれを支持するものとなった。単芽球の基準をクリアーし、NaF阻害EST染色に陽性よりAML-M5aと診断された。また本型に特徴とされる11q23やMLL遺伝子異常も認められた。臨床的にはDICを併発していた。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 急性骨髄性白血病 (AML)
> 単球性 (単球系が優位)
> 低分化型 (M5a)
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性別 |
男
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年齢 |
10-14
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取得年代 |
1995-1999
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主訴 |
発熱、痩せ、リンパ節腫脹。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
発熱を認め近医にて化膿性扁桃炎といわれ、治療を受けるも体重減少(5kg)に気づいた。
その後も食欲不振は続き、2月下旬に頚部リンパ節腫脹を認め、全身の衰弱や倦怠感より3月上旬に当科へ入院となった。右咽頭扁桃の腫大、リンパ節腫脹(頚部、腋窩、鼠径部2cm大)、肝腫(季肋下6cm)。
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検査所見 |
WBC 20,800/μl(芽球55%)
RBC 196万/μl、Hb 6.5g/dl、Ht 18.6%、MC 94.8Vfl、
MCH 33.1pg、MCHC 34.9%、PLT 6.4万/μl,
NCC 40.5万/μl(芽球97%)、PT 51.1%、Fibg 109mg/dl、FDP 3,244ng/ml、D-ダイマー 52.4μg/ml,、LD 1,990IU/l、CRP 16.5mg/dl、UA 3.7mg/dl、
リゾチーム(s)52.6μg/ml
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末梢血所見 |
白血球増加(20,080/μl )にて芽球は55%みられた。それらは大型で、好塩基性の豊富な細胞質を有し、クロマチンは粗荒で核小体を認めた。アズール顆粒は認めなかった。
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骨髄所見 |
過形成像にて芽球は98%みられ、末梢血同様大型、好塩基性の豊富な細胞質を有し、クロマチンは粗荒で明瞭な核小体を認めた。
アズール顆粒は認めなかった。
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細胞化学所見 |
芽球はPO染色に7%が陽性で、弱陽性から強陽性のものがみられた。
EST(α-NB)染色では82%が強陽性でそれらはNaFに阻害された。
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形態診断 |
末梢血・骨髄の光顕的所見にて単球系が疑われ、それらは80%以上で、なかでも単芽球が80%以上より低分化型の単球性白血病を考えた。
また、NaF阻害EST陽性はそれを支持するものとなった。
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免疫学的所見 |
CD13(35.4%), CD33(64.1%), CD11b(34.5%),
CD11c(97.4%), CD14(99.0%),
CD34(7.4%), MPO(1.8%)
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分子生物学的所見 |
46,XY,t(9;11)(p22;q23)[12]
MLL遺伝子(+)
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
光顕的所見、表現型、11q23、MLL遺伝子が証明され、AML-M5aと診断された。
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