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 本例は前駆B細胞性リンパ芽球性白血病であるが、Ph染色体を認めたものである。7年前、PVの診断をされたが抗悪性腫瘍剤は投与されずにいたため、治療関連性ではないと思われる。PVでは通常正球性正色素性をとる...
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 本例は前駆B細胞性リンパ芽球性白血病であるが、Ph染色体を認めたものである。7年前、PVの診断をされたが抗悪性腫瘍剤は投与されずにいたため、治療関連性ではないと思われる。PVでは通常正球性正色素性をとるが、本例では小球性低色素性であることは、恐らく出血による鉄欠乏の状態が示唆される。
 
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性リンパ性白血病 (ALL) > L1;小細胞性、均一性、N/C比高い
性別
年齢 65-69
取得年代 2000-2004
主訴 倦怠感、出血。
既往歴 7年前真性多血症(PV)の診断。
抗悪性腫瘍剤は投与されずにfollow up。
現病歴 外来でfollow up中、白血球の増加に伴い血液検査にて芽球様細胞を認めたため入院となった。
検査所見 WBC 34,780/μl、RBC 744万/μl、Hb 12.6g/dl、Ht 44.8%、MCV 60.2fl、MCH 16.9pg、MCHC 28.1%、
PLT 30.4万/μl、
LDH 741lU/l、CRP 2.02mg/dl、Fe 56μg/dl
末梢血所見 真性多血症(PV)でフォロー中、白血球増加(34,780/μl)にて芽球様細胞が8%みられた。
骨髄所見 過形成像にて芽球様細胞は95%みられ、N/C比は高くクロマチンは粗顆粒状である。
核形不整や核小体はあまりみられなかった。
細胞化学所見 芽球様細胞はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
形態診断 骨髄にて90%以上を占める芽球様細胞は形態学的ならびにPO染色が陰性よりリンパ系が考えられた。
形態学的にALLを考えるが、表現型でその起源を知ることになる。
免疫学的所見 CD10,CD19,CD34,HLA-DR (+)
分子生物学的所見 ①47,XY,t(1;8)(q21;q21),t(;9;22)(q34;q11),
+der(22)t(9;22)・・3/20cells
②46,XY・・17/201cells
③BCR/ABL(+)-FISH
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 芽球様細胞は光顕的、表面形質よりALLを疑い、FISH法にてPh染色体を認めたためPh陽性のALLと診断された。
7年前、PVの診断をされたが抗悪性腫瘍剤は投与されずにいたため、治療関連性ではないと思われる。
PVでは通常正球性正色素性をとるが、本例では小球性低色素性であることは、恐らく出血による鉄欠乏の状態が示唆される。