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 16番染色体逆位白血病は、WHO分類では特異的な染色体異常や遺伝子異常としてinv(16)(p13q22),(CBFβ/MYH11)またはt(16;16)(p13;q22),(CBFβ/MYH11)を認めることで診断される。
形態学的には、急性骨...
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 16番染色体逆位白血病は、WHO分類では特異的な染色体異常や遺伝子異常としてinv(16)(p13q22),(CBFβ/MYH11)またはt(16;16)(p13;q22),(CBFβ/MYH11)を認めることで診断される。
形態学的には、急性骨髄単球性白血病(M4)の病型を基本に、骨髄にて粗大顆粒や異常の顆粒を有する異常好酸球がNEC中の5%以上に認めることが
所見としてあげられる。この異常好酸球にも上記の染色体異常は認められるが、末梢血にはみられないとされる。FAB分類では異常好酸球を伴うM4(M4 with eosinophilia:M4Eo)として分類されていたものである。
     
 本例は、光顕的に末梢血の単球が5,000/μl以上(実際は16,286/μl)、骨髄の芽球が20%以上とEST二重染色の陽性よりAML-M4を疑った。
染色体・遺伝子検査にてinv(16)(p13q22)、CBFβ/MYH11陽性よりM4Eoと診断された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 骨髄単球性 (異常の好酸球を伴う:M4E...
性別
年齢 20-24
取得年代 2005-2009
主訴 微熱(37.5℃)、紫斑。
既往歴 特になし。
現病歴 微熱と下肢に紫斑を認めたため近医を受診し、白血球の増加を指摘され、白血病の疑いにて当科を紹介された。
白血球著増(11,2800/μl)より芽球を認めたため入院となった。
検査所見 WBC 112,800/μl(芽球65%)
RBC 348万/μl、Hb 9.5g/dl、Ht 29.1%、MCV 83.6fl、
MCH 27.2pg、MCHC 32.6%、 PLT 2.3万/μl、NCC 46.8万/μl、MgK 25/μl (芽球52%, Eo15%)
FDP 2.2μg/ml、LDH 626IU/l、リゾチーム(s) 45.2μg/ml
末梢血所見 白血球著増(11,2800 /μl )にて芽球は65%みられ、他に単球が16,286/μlと増加していた。
骨髄所見 過形成像にて芽球は52%、以降顆粒球系の分化段階がみられ好酸球は15%みられた。
好酸球のなかには異常好酸球(好塩基性の異常顆粒)を有するものもみられた。
細胞化学所見 PO染色にて芽球は陽性で、病的好酸球も強陽性であった。
EST二重染色にて骨髄系と単球系の陽性像がみられた。
形態診断 末梢血、骨髄の芽球は20%以上であり、単球は5,000/μl以上(実際は16,286/μl)、しかもEST二重染色陽性を加味すると急性骨髄単球性白血病(AML-M4)を疑った。
好酸球の形態異常についてはinv(16)M4も考慮すべきかとおもわれた。
免疫学的所見 CD13・CD33・CD11b・CD11c・CD14・HLA-DR(+)
分子生物学的所見 46,XX,inv(16)(p13q22)[20]
CBFβ-MYH11(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血の単球増加(16,286/μl)と骨髄の芽球が52%、骨髄の好酸球は形態異常の範疇として捉えられた。
inv(16)(p13q22),CBFβ-MYH11の異常を認めたため異常好酸球を伴うM4(AML-M4Eo)として診断された。