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 本例はダウン症候群を併発したもので、形態像ではN/C比が高く、クロマチンが粗造、PO染色が陰性、PAS染色が点状陽性のことよりALLを示唆するものである。表現型ではB細胞の性格でCD10が陽性よりcommon-ALLであ...
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 本例はダウン症候群を併発したもので、形態像ではN/C比が高く、クロマチンが粗造、PO染色が陰性、PAS染色が点状陽性のことよりALLを示唆するものである。表現型ではB細胞の性格でCD10が陽性よりcommon-ALLであり、t(1;19)の核型異常を認めた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性リンパ性白血病 (ALL) > L1;小細胞性、均一性、N/C比高い
性別
年齢 10-14
取得年代 2000-2004
主訴 左膝痛。
既往歴 ダウン症候群。
現病歴 1ヶ月前から左膝痛が出現し近医受診するも“成長痛”として経過する。
痛みはとれず、発熱を来たし、左肩痛を訴え某院を受診する。
末梢血で芽球様の出現と重症感染症の疑いで精査、加療目的で当科紹介入院となる。
検査所見 WBC 8,060/μl、RBC 446万/μl、Hb 14.0g/dl、Ht 41.3%、MCV 92.6fl、MCH 31.4pg、MCHC 33.9%、PLT 18.5万/μl、LDH 3351IU/l、CRP 21.7mg/dl
末梢血所見 血球減少はなく、発熱と感染症疑いでの血液検査にて芽球が12%みられた。
骨髄所見 芽球は93.6%みられ、それらは大小不同性で、クロマチンは粗網状で、核形不整がみられ、なかに分裂像も散見された。
細胞化学所見 芽球はPO染色に陰性で、PAS染色に点状の強陽性がみられた。
形態診断 芽球はPO染色に陰性、PAS染色に点状の陽性がみられた。
芽球のPAS染色における粗大顆粒状や点状(塊状)陽性は陽性率に関係なくリンパ芽球を支持するものでありALLを考えた。
免疫学的所見 CD10,CD19,CD79a,HLA-DR(+)
slg,clg (-)
分子生物学的所見 ①47,XY,+21‥10/20
②48,XY,+21,t(1;19)(q23;p13.3),+m‥3/20
③48XY,+21,+?‥2/20
④47,XY,+21,-10,+?‥1/20
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的所見よりALLを疑い、芽球の起源はCD10陽性(common type)のALLが考えられた。本例はダウン症候群であり、ダウン症候群に併発したALLと診断された。
初発時の発熱、CRPの高値は重症感染症の合併は否定できず、染色体検査では複雑多数や由来不明(?)の核型異常を認めた。